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脚本家・劇作家・演出家 富良野自然塾塾長/富良野GROUP主宰 倉本聰さんインタビュー

 

ゼロから語る大切さ

“ストンと心に落ちる”、それが理解するということ

編集部:私たちが地球のことを考える時、まず最初にするべきことがあるとしたら、それは何でしょうか?

倉本氏:少し唐突かもしれないけれど、富士山の話から始めさせてください。たとえば富士山に登ったことがあると言う人は3,776メートルの富士山を登ったというけれど、自分の足で登ったのは、大概は五合目あたりから、つまり2,400メートル地点から上で、海抜0メートルの起点となる相模湾からではないわけです。この文脈からも、僕の言わんとすることが既にお分かりいただけたかもしれないですね。最近は物事を論じる際、その原点から考えるという基本的な姿勢があまりにも軽視されているように感じます。時代と共に流動し、変動する"常識"のレベル、いわゆるその時点の既成事実から議論が始まり、その背後にある因果関係や根本的な話などが一切飛ばして語られることが多過ぎるように感じています。つまり、物事の本質を見極める上で最も重要な、ゼロからスタートするという基本姿勢が欠落してしまっているように僕には見えるんです。物事の全体を俯瞰する視界を持ち、目の前の状況を自分にしっかり引き寄せて、"私ごと"として考える姿勢から始めてはどうだろうかと思います。

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