隊員になるには基本的に健康でなければなりません。このように健常な人間の集団の中では元々、お医者さんは活躍の場が少ないのです。もちろん南極観測という場面において、お医者さんがすごく忙しいような状況は大いに困る訳ですが!(笑)。いずれにしても「私は医者ですから」といって自分の範疇を超えないような行動パターンに一旦はまってしまうと、行き詰まってしまう確率が高まると考えられます。
“それぞれが大人の分別を持ち、自立をしながらも互いに助け合いながら生きていく”。この姿勢こそが、南極観測では求められる資質です。私は今、この資質を南極という場で求められる姿勢としてお話をしましたが、極地と呼ばれる場所ではそれがたまたま顕著になるだけで、私たちの普段の日常生活や環境問題に立ち返ってみても、同じことが言えるのではないでしょうか。
2009年10月29日インタビュー
*写真提供:国立極地研究所