編集部:まさに“緻密な観測”が南極観測のメインミッションなのですね。現実に、越冬隊員はその分野のスペシャリストたちで構成されているのですか?
石沢:越冬隊は観測チームと設営チームがおよそ半分の割合、ないしは設営チームの方が若干多いくらいの構成でしょうか。観測チームは気水圏や気象専門研究者、一方設営チームは観測チームの活動が滞りなく行われるためのインフラ整備や、南極での日常生活全般をサポートする人員で構成されています。
編集部:そうした観測隊員を選抜するにあたって、どのような基準とシステムで隊員の決定が実施されているのですか?
石沢:大きく分けて二つあります。ひとつは一般公募、もう一つは推薦です。公募では調理師、医者といった専門的な技術者が集められるのですが、推薦枠は企業のご協力の下、特殊な発電機や車両などの機械に精通した技術者、エンジニアなどにご参加いただいております。現地ではとにかく、すべてを自力でメンテナンスし、確実に稼働させることが必須事項です。その意味で、機材のメーカー各社にはご尽力をいただいています。倍率については、そんな高くはありません。もちろん年度やポストによっても差はありますが、約2〜3倍から、5〜6倍になることもあります。