エコ作の生産工場を訪ねて

クィーンズ伊勢丹は首都圏を中心に出店している食品専門のスーパーです。青果、鮮魚、精肉、デリカ、ベーカリー、一般食品で構成された売り場の中で、正面入口を入ってすぐにある青果部門はお店の顔とも言える存在です。クィーンズ伊勢丹では、“青果は季節を映し出す鏡”と捉え、カラーコントロールされたミラーケースには果物を、野菜はフロアー中央に設置したアイランド什器に展開しています。今回訪問した小石川店は、クィーンズ伊勢丹の中でも青果の売れる店として評判の店舗です。



編集部

まずクィーンズ伊勢丹では、《エコ作》をどのように展開されているのですか?

田中

小石川店では現在、フリルアリス、グリーンマリーゴールド、レディッシュロザリアの3種類を展開しています。現在の入荷状況は毎日5箱(1箱:12個入り)程度、コンスタントに売れるサラダ用の野菜です。4年前に始めて導入した時は、週2回の配送で、ロットとしては2〜3箱程度でしたから、確実にお客様の支持を拡大していますね。

編集部

ずいぶん前から《エコ作》に注目されていらしたんですね。《エコ作》導入を決定されたポイントは何だったのですか?

田中

私ども、クィーンズ伊勢丹はその名前からも分かるように、伊勢丹というデパートの傘下にある食品専門スーパーです。本部のバイヤーは常に一歩先を行く食品を世界中から探しています。

本部の徹底した安全調査やトレンド分析を経て、《エコ作》は未来の消費者たちの求める野菜のひとつとしてノミネートされ、小石川店にも導入されました。もちろん現在では、本部経由ではなく直接小石川店・青果部として発注し、商品が毎日納入されています。

クィーンズ伊勢丹は“食もファッションと同じ”というコンセプトがあり、消費者は“現在のライフスタイルに合った食品に随時、着替えていくもの”という考え方があります。ですから、何処よりの早く“旬”を、そして“新しい商品”を先取りしていこうという姿勢あるんです。

そんなクィーンズ伊勢丹の方針として、当初からバイヤーは《エコ作》に注目していたようです。ですから、現場スタッフの私たちはバイヤーが見込んだ商品を受け入れ、タイムリーなタイミングでお客様に実際に試食していただき、商品の特性と美味しさをより深く知っていただけるよう、工夫をしています。具体的には、店頭でのイヴェントをご一緒させていただいたりしながら、“商品を育てていく”という方針で、お客様の率直なご意見を生産者の皆さんにもフィードバックできるよう仕掛けています。

編集部

試食会は年に何回ほどされるのですか?

田中

クリスマスの時期はレタスが売れるシーズンなので、この時期は外しません。さらにもう一度、レタスの需要が高まる時期に開催しますから、年に2回程度でしょうか。冬季はご承知のようにレタス類の葉物野菜の価格が高騰するので、年間通して価格が安定している《エコ作》は“値ごろ感”も含めて、胸を張ってお客様にお奨めできる商品なんです。

編集部

売り場で《エコ作》を展開する際に、工夫されていることはありますか?

田中

クィーンズ伊勢丹の売り場のVMD(Visual Merchandise Design=視角商品デザイン)は、お客様に“分かり易く”そして“大きく”見せることという基本方針があります。商品の魅力をポップできちんと説明し、売り場にスペースを大きく取って商品を“魅せる”ことを非常に重要だと考えています。

店に入っていらしたお客さまに食品そのものの“色”と“かたち”でまず感動していただけたら、その商品はきっと売れるはずです。ですからショーケースにどのような順番で野菜たちを並べるにも、毎日、細心の注意を払っています。

編集部

《エコ作》へのお客様の反応はいかがでしょうか?

田中

上々ですよ。小石川店は生鮮食料品がよく売れる店なのですが、料理の素材を買われるお客様にとっても、安心で清潔な商品は特に好まれているようです。

パックから出して、そのまま洗わず食べられる《エコ作》は、時代のトレンドに合った野菜だと思います。水耕栽培ならではの土や虫がついていないという安心感と使い勝手の良さが幅広いお客さまに支持されている理由だと思います。

編集部

大きさとか重さという点では、いかがでしょうか?

田中

私は小石川店の青果コーナーでのグラム販売をより充実させてゆきたいと考えを持っています。最近は一世帯あたりの人数が少なくなっていますから、キャベツや白菜など大きくて重い“丸ごとの野菜”はどんなに安くしても買っていただけない傾向があります。でも小分けして食べきれる分量に整備すれば、色々な種類の野菜を買っていただけるのです。《エコ作》のサイズは、そんな時代のトレンドを意識した適切な重量だと思いますね。

この店のコアとなるお客様は、小さなお子さんのいらっしゃる若いお母さんたちと中高年のご夫婦なのですが、店に設置している【お客様の声】というアンケートボックスにもよく寄せられるメッセージでも“少なくてもいいから、確実に美味しくて安全なものを期待しています”が大半を占めています。

編集部

今後の《エコ作》に期待することはなにかありますか?

田中

クィーンズ伊勢丹では《エコ作》シリーズの野菜を、それぞれの野菜の種類名で表示しています。お客様は常に新しいものを楽しみにしていらっしゃいますから、新商品の開発には多いに期待を寄せています。それから、今後種類が増えていくことも考えると、パッケージの商品名の表記の仕方も一工夫があるといいかもしれませんね。