トンボ調査には小さいお子さんも参加されたりしているようですね。男の子はトンボに興味を持つとは思いますが、女の子はちょっと・・・ということはありませんか?
意外にそうでもないですよ。カブトムシなどは特に男の子のイメージが強いと思いますが、トンボ捕りなんかは、女の子の方が上手で男の子が遅れをとったりします。(笑)。実際にトンボ捕りをする「ちびっこ調査隊」の参加者の半分くらいが女の子ですし、女の子が優勝したこともありますよ。
先生は普段の教育現場を通して、生徒たちへどのようなことを伝えようと思っていらっしゃいますか?
やはり、「現物に接する」ということでしょうか。原体験がないということが今の理科教育を難しくしている所だと思います。やはり自然保護をするためにも、まず親しみをもつということが大切じゃないかと思います。あるとき路線バスに乗っていると、窓から蝉がはいって車内を「ビビビビビッッ」と鳴きながら飛び回っていました。乗っていた女子高生は思わず凍りついていましたが、小さな子なんかは平気に掴んで、窓の外に放していましたね(笑)。蝉なんて噛みつくわけではないし、そうやって実際に生物と接して知る、ということはとても重要なことです。昆虫採集は残酷だとかそういう意見を耳にすることがありますが、我々は愛護ではなく保護をしているのです。
ほかに先生がトンボの研究を通して、何か面白いことはありましたか?
別の調査ではありますが、かつてオニヤンマが津久井から横浜まで直線距離にして26.5km、1ヶ月ほどの時間をかけて飛んだという記録があります。これにはびっくりしました。しかし単にすごいということ以上に、津久井の自然を守るということが、自分たちの住む地域だけの問題ではなく、横浜の自然環境へも影響を与えているということがわかりますよね。
今後、トンボフォーラムにどのようなことを期待されますか?
「ちびっこ調査隊」のような啓蒙活動とトンボの飛来調査をそれぞれ全力投球でやることです。そして、どんどん市民が主体の活動に広がっていき、市民活動の中でもサイクルができるといいですね。小さいころに参加をして、自分が親になった時に子供を連れてくるとか、そういうサイクルが出来ていくといいですね。
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インタビュー取材:2007年8月13日 神奈川県立津久井高等学校にて