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独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)理事長 安井至さんインタビュー

 

安井氏:“価値観”も変化し続ける状況下において、多様な外的要因の影響を受け、時々刻々と変質するものです。だからこそ、いかなる“価値観の種”を植え、それを“社会の総意”として育てていくかが、重要になってくると考えています。

私が就いている当機構のミッションのひとつに、その名前からもご推察いただけるかと思いますが、一定基準の下でさまざまな製品の分析や評価を行い、技術発展の振興サポートと同時に、その安全性を図り、社会へ活かすということがあります。言ってみれば、社会で共有されるべき価値観を定義し、発信する立場にあると言えるでしょう。しかし、これが如何に難しい仕事であるかを日々痛感させられています。
たとえば、ある製品で事故が起きたとしましょう。その事故の原因を分析してみます。技術的な視点から見て、安全対策が十分でなかった場合、これはシンプルな話です。安全装置の設置を指示し、その基準を査定すればいい。しかし、安全対策もしっかり採られており、予防機能もついているのに、何故か事故は起きてしまうのです。これはまさに作り手側と使い手側の価値観の相違が生んだ事故といえるのです。製造者側は可能な限りのさまざまな想定の下、製品開発を行いますが、使用者がその意図に沿った方法でその器具を使ってくれるかどうかは分からないのです。私たちはこの事実を真摯に受け止め、共に考えなければいけないのです。

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安井至氏

 

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