編集部:環境に配慮するという私たちのマナーや理解が日々の生活に深く浸透していることを実感できるようになりました。しかしもっと大きな視点から“今”を俯瞰し、現在の判断や行動が目指すべき未来にしっかり繋ながっていくのかについては確信が持てずいます。とりわけ最近の気象変動や温暖化に対し、私たちはどのような指針を持ち、どのようなライフスタイルをとるべきなのでしょう?
安井氏:確かに現状を正確に認識し、一定の判断を下すことは非常に難しいと思いますね。と言うのも、この地球で起こっている諸問題をどういうスパンで考えるかによってその判断は全く異なってくるからです。地球環境という表現を私たちはよく使いますが、地球は45億年前に誕生しました。その地球に原人は50万年前、現在の人間への進化した新人類が現れたのが20万年前。ですから、今の質問にしても、私たち人類が生まれてから今までの数十万年という単位で考えるのか? それとも産業革命以降の近代から現代社会までの200余年の期間を考えるのか? それとももっと短いスパン、ここ十数年の状況に限った検証なのか? 検証する時間軸によって、導き出される結論は全く違った景色を伴ってくるのです。環境問題を論議するには、まず当事者同士が明確な座標軸の設定をし、そこでどのような解を導きだすかという評価基準を共有した上で展開されるべきでしょう。