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細田衛士さんインタビュー

 

また、“モノ”に対する“価値”についても常に柔軟に判断をしてゆかなければいけないのだろうと考えています。何を“価値”として見出すか、バリューとは、常に変わるのです。携帯電話は使われている間はその機能にこそ価値がありますが、壊れた瞬間、「財=資源」としてその価値を変化させるのです。そのようにゴミを「財=資源」と捉える価値観が生まれ、その「財=資源」がしっかりと回わしてゆくようなシステムを構築する。システムとは単なるプラント構築に適用されるものではなく、人と人を繋げるコーディネート力が不可欠です。コーディネートする力はデザイン力とも言えるかと思いますが、モノの価値を高めるデザイン力を携えた発想で社会を作って行くことこそ、資源循環社会の基本だと考えています。

編集部:最後に、「モノに対する価値観」について、教育がその役目を果たす部分はあるとお考えでしょうか?

細田:大いにあると思いますね。結局は、いいモノを見せるということが一番だと思います。絵でも音楽でも演劇でも焼き物でも五感で感じる“本物”をたくさん見せるということが大切でしょう。もちろん自然に触れることもその一つです。何が本物なのか、何が美しいのか、それをたくさん考えると自ずと「モノに対する価値観」の見極めができるようになってくるように思います。「モノ」の背後に広がっている世界をしっかり視野に捉えて生きることが、今こそ重要なのですから。

2009年6月16日 慶應義塾大学 研究室棟にてインタビュー

細田衛士

 

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