都市の中に溢れる使用済み家電製品や工業製品の中にリサイクル可能な二次資源が含まれていることから、それらの使用済廃棄物を一つの鉱山として捉え、積極的に資源を取り出すリサイクル概念を指します。近年は特に天然鉱山からの採掘量が少ないレアメタルと呼ばれる希少金属の不足対策から「都市鉱山」の有効性が評価されています。
2008年1月11日、日本に蓄積する都市鉱山規模の推定計算結果が独立行政法人 物質・材料研究機構より発表されました。当発表では、世界の年間消費量や世界の天然鉱石埋蔵量との比較がされており、いかに日本に多大な規模の都市鉱山が潜んでいるかが明らかになりました。
たとえば、金(Au)の都市鉱山蓄積量は6,800トンです。この量は約2.7年分の世界消費量が日本国内の都市鉱山で賄え(世界の年間消費量は2,500トン)、世界の埋蔵量の16.36%にあたります(世界の埋蔵量は42,000トン)。その他稀少性の高いレアメタル類も多量に蓄積がされていることが分かり、今後の再利用が注目されています。
レアメタルとは鉄や、銅・亜鉛・アルミニウム等のベースメタル、金・銀・白金・パラジウム・ロジウム・イリジウム・ルテニウム・オスミウムといった貴金属以外の金属を指し、ニッケル、タングステン、タンタル、インジウム、リチウムなどがそれにあたります。また、近年、自動車、エレクトロニクス、医療、航空・宇宙開発事業など、多岐に渡る先端技術産業への利用が高まっていますが、全世界的に埋蔵量が少なく枯渇が心配されています。
普段なかなか耳慣れないレアメタルも、調べてみると意外と身近な場面で使われていることがわかりました。文部科学省が発行している「一家に1枚周期表」を見てみると、私たちの生活がさまざまな資源によって支えられることが実感できます。
*一家に1枚周期表(文部科学省 製作・著作):http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/week/shuki/a3.pdf
世界的に見ても、日本国内に存在する都市鉱山からの有用資源については大変期待がされています。しかし、現在は都市鉱山が含まれる使用済み廃棄物などの効率的な回収システムが確立されていないことや、それら廃棄物から資源を採取するにも解体作業と資源の分離・取出作業に大変な労力とコストがかかり、有効的な循環が果たされていないのが現状です。今後は回収率の向上、資源採取のコストの低減化などが課題として求められています。尚、資源採取のコスト削減の具体案として、2008年11月に独立行政法人 物質・材料研究機構 元素戦略クラスター長、原田幸明材料ラボ長によって発案されたボールミルを用いた小型分散処理装置が発案されるなど技術開発は進んでいます。