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万物は土から生じて、土に帰る
Q.土壌の大切さが話題に上りました。
これは、リバーエコ炭にも大いに関係するお話ですね。
A.「すべてのものは土に帰る」。私はそう思っています。学生にもそう言っているんですが、ときにペンチまで土に返す学生がいて、「おいおい、そんなものまで土に返すなよ」なんていっているんですけれどね(笑)。
しかし、鉄も土に帰っていきます。そういう見方で言えば、都市のごみも土に帰るでしょうね。あるいは、土に帰すのがもっともいい、正しい方法かもしれません。
逆に、すべてものは土から生じているんですよ。それは植物のお陰。地球上の無機物を有機物に変えることができるのは、植物だけです。そして、その植物が拠って立つのは土なのです。
土の成り立ちを考えると、一番初めはマグマなどからできた岩石でしょうね。地球は稀有な星であると言われるように水があったために、水の力や風の力で、岩石が小さなつぶ状になっていきました。
しかし、土壌は岩石のつぶだけではないんです。土壌化作用というのがありまして、そこに植物が定着することによって有機物が入ってくるんですね。岩石と植物や動物の死骸が混ざり合って、土壌ができてくるんです。また、この土壌があったからこそ植物が繁栄できたわけですし、動物が生きていくことができました。まさに、万物は土から生まれているわけです。
だから、ごみも円満に土に帰してやることです。土は有機物と無機物が混ざってできていますから、ごみを有機物として戻してやるのが一番いいと思います。都市のごみを燃やせば無機物になります。折角作った有機物を人間が無機物にして戻してしまうのではなく、有機物として戻すという考え方です。
堆肥がそうですね。植物を微生物の力で分解させて、作物栽培のときに土に戻すということをやっているわけですね。これはリサイクルです。僕は石川英輔先生が大好きで、本もたくさん読んでいます。石川先生の考えに大賛成で、僕もずっと前から、江戸時代にリサイクルの智恵があると考えていたんです。「籠に載る人、担ぐ人、わらじを作る人、破れたわらじを拾う人」で、破れたわらじを焼かずに土に戻した。わらじは分解されて土に帰るんですね。そういう智恵が江戸時代にはすでにあったんです。ここに、江戸時代の農業技術書があります。元禄10(1697)年のものです。宮崎安貞の『農業全書』。11巻のシリーズです。しかも、この本は元禄版と天明再版本(1780年代)を合わせて、全部で3000部くらい刷られたと