大学を超えて「環境」でつながる学生たち


Q2.所属する環境ネットワークの
主旨・活動内容を教えてください。(その2)

環境ロドリゲス(by 織田竜輔)


 環境ロドリゲスは、1997年に創立されました。早稲田大学公認、エコ・リーグ加盟の学生環境NPOです。
 まず、さまざまな異説が流布している「ロドリゲス」という名前の正しい由来を説明しますね(笑)。ロドリゲスというのは島の名前なんです。アフリカ大陸の南東、モザンピーク海峡に浮かぶマダガスカル島近くの小さな島。この島には宝島伝説があって、財宝を求めて多くの人が訪れたんだそうです。でも、誰も見つけることができなかった。ところが、種の絶滅が言われる動物が増えてきたとき、調べてみたらこの島にはドードー鳥の一種が最後まで棲息していたことがわかったんです。ドードー鳥が暮らすことができた豊かな自然、これこそが「宝」ではないか、と。やっぱりロドリゲス島は宝島だったんだ、というストーリーに、豊かな自然への思いを浮け継ごうという願いを込めて、サークルの創設者が命名しました。環境ロドリゲスのマークは、ほら、ドードー鳥なんですよ。

  僕らの活動範囲は、大学を含む「早稲田地域」です。商店街や生協、新宿区と連携して活動していこうと進めています。さらに、各分野の専門家、エコ・リーグ加盟の他団体、社会人とも広いつながりを築き、客観的に「調査・研究」し、さまざまな解決策を「体験・実践」「提案・発信」していくことをモットーにしています。例えば、ごみ問題を取り上げてみますと、僕らは大学内における「紙」調査というものを行いました。新入生歓迎の時期を中心に、学生の客観的な実態・意識調査をアンケートをもとに行い、その分析も含めて報告書にまとめました。その提言をもとに、大学内には紙のリサイクルBOXが設置されています。
 

「早大の環境問題がわかる!」
「早大の環境問題がわかる!」  
2000年1月8日発行。在庫僅少。早大図書館には所蔵されている。「紙」調査はもちろん、環境に関する講義への要望などさまざまな意識調査と分析がなされた大作。ロドリゲス創立以来2年間の活動の集大成でもある。


さらに、活動の1つに「早稲田環境ラウンドテーブル(WERT)」があります。これは大学、生協、近隣商店街、行政といったすべての主体が一同に会し、早大のごみ・リサイクルについて各々の活動を総括したり、今後の役割について協議するシンポジウムを開催したり、エコサマーフェスティバル(早稲田地域で行われる催し)で各主体の活動を紹介する「ワセダ ECO ZONE」などを設けたりしました。その大きな成果の1つとして、生協で4月からエコ弁当箱が導入されることになりました。

 僕ら、理工学部でこの容器を提案し、株式会社秀英さんの協力を得て、ロドリゲスと生協、3者の共同作業として実現の運びとなりました。パッケージ・デザインもロドリゲスで担当しました。中は二重構造になっていて、食べ終わったあと、汚れている中のフィルムは可燃ごみで捨ててもらって、外箱はさっき話した紙のリサイクルBOXに入れてもらいます。もともと生協が使っていたプラスエコ弁当箱ティックの容器より4〜5円高いです。プラスティック容器は不燃ごみの処理費用が高くて大変だったということで、このリサイクル容器に、大学側も非常に協力的でした。学内でリサイクルされた紙は、学内のトイレットペーパーとして戻ってきます。弁当は年間4万食売られているそうです。容器ごみの実態についても、僕らは過去にごみ箱を漁って調査をしており、このリサイクル容器の実現によって、環境改善になると思います。

 他の弁当容器についても、僕らはずっと注目してきたのですが、なんとか容器を減らせないかということで、この4月から「MY弁当箱キャンペーン」を実施することになりました。地域のお弁当屋さんの協力を得て、弁当箱を持っていったらその容器に、ごはんを入れてもらうわけです。まだ、実験的な段階ですが、こんな活動も進めています。

 MY弁当箱キャンペーンは、環境のみならず、福祉の面でも意義のある活動です。というのは、一人暮らしのお年寄りの食事をどうするのか、というのが昨今問題になっています。自分で一人分を作るのはたいへんなんですよね。地域のボランティアの方が弁当を宅配するという活動をしていますが、なかなか追いつかないので、MY弁当箱でお弁当屋さんに食事を詰めてもらうというサービスが、高齢者及びお弁当屋さんのニーズに応えられるのではないかと、考えています。
 このように地域・行政と連携して取り組むのがロドリゲスの特徴とも言えます。また、今日は早稲田地域に根ざした活動を紹介しましたが、実は他にも、もっと広い視点でとらえた活動も行っています。例えば、コンビニの環境改善活動、エネルギー問題を取り上げた活動などがあります。ぜひ、ホームページをご覧下さい。


● ECO学園祭ネットワーク(by 山岸健)


まず、キャンパス・エコロジー活動(キャンエコ)の用語説明をしますね。
そもそもキャンパス・エコロジー活動は、エコ・リーグのプロジェクトとして、キャンパス・エコロジー実行委員によって始められました。のちに、全国に散らばっている環境サークルで大学内の環境問題を考えよう、という活動になっていったんです。大学を社会の縮図ととらえて、大学が変われば社会が変わるという意識をもってその活動を全国に広げていけば、どんな政策よりも大きな力になるんじゃいか、というものです。

実際の活動の内容は、各環境サークルによって違いますが、活動の1つとして環境サークルが取り組んでいるのが、学園祭での環境対策なわけです。学園祭では、たくさんの容器ごみが出ますよね。それをなんとか減らしていこう、という活動を行い、また、学校ごとのノウハウの交換などを行う、それがECO学園祭ネットワークです。学園祭というのは、環境サークルにとっていろんなアイデアの発表の場にもなりえますから、環境教育・啓蒙にもつなげていきたいと思っています。また、学園祭は、365日分の3日程度といった、言わば非日常の時間なのですが、あえてそこで発表することによって、日常に戻ったときの状況を考えてもらおうとも思っています。ECO学園祭ネットワークは、全国に広がるつながりなんですが、このつながりはすごくゆるやかなものです。主にメーリングリストで情報交換をするんですが、メーリングリストに登録しているのが150人くらい。環境サークルの学生か、あるいは学園祭実行委員の学生が参加しています。全部で50団体くらいが所属していると思います。150人が皆でミーティングするということはなく、コアなメンバーが集まってECO学園祭ネットワークの方針を決めています。

活動内容は3つあります。学園祭における環境対策の情報交換・ノウハウの共有、人的協力(異なる大学でも)、合同企画。合同企画として今までやってきたのはこれまで、3つあります。1つはプレスリリースを共同で作成します。1つの学校で行っているだけでは声が小さいですよね。そこで、ネットワークの立場からアピールするんです。環境系の雑誌であるとか、各紙に情報を提供して取り上げられました。学園祭の行われる時期ですから、大体が秋頃ですね。2つ目は、昨年度初めて行ったことなんですが、複数の学園祭における「環境にやさしいトレー」の共同購入です。これは、さとうきびの絞り粕(バガス)やユーカリの葉や葦を使った非木材紙トレーです。焼きそばとかフランフルトをのせるもの、汁物を入れるどんぶり形のものもあります。耐水・耐油・耐熱に優れ、有害物質の分析結果も良好です。ただ、1つの学園祭で少数購入するととても高いんですね。単価を下げるため、10大学12キャンパスの学園祭で共同購入しました。

さらに昨年度はYAHOO! JAPANに協力していただいて、YAHOO!では環境にやさしい学園祭を応援しています、と広報してもらう代わりに、トレーをタダで配ってもらいました。共同購入枚数計216040枚で、うち146500枚はYAHOO!とアート引越しセンターの協賛でタダになりました。このYAHOO! の特集記事は、3ページくらいの大きなものでした。参考URLはこちらです。
http://event.yahoo.co.jp/docs/event/gakusai2000/

「環境にやさしいトレー」は、材質がセルロースで堆肥化が可能なんです。土壌生物のための栄養にできるんですね。昨年度の場合は、大学によって処理方法は異なりました。半数くらいが堆肥になるように埋め、半数くらいが焼却したと思います。今年も春くらいから購入団体を募ります。昨年は偶然YAHOO!がついてくれたのですが、今年は新たに探さなければなりません。春から活動開始です。もう1つ、ディッシュ・リターン・プロジェクト(DRP)と呼ばれる活動があります。これはプラスティック製のお皿を洗って使いまわすことによって、学園祭で出るごみを減らしていこう、というものです。お客さんにお皿を洗ってもらって環境意識を高めてもらう、という二次的な効果を狙う場合もあります。このお皿自体を持っていない大学もありますから、保証付きで貸し出しも行っています。明治学院大学では何年もこれを続けているので、地元のお客さんにも定着しているようです。まぁ、始めて行う大学ではお客さんの抵抗感も見られますね。また、発泡スチロールトレーをリサイクルしてくれる業者に頼んで、学園祭のトレーをリサイクルするということを行っている大学もあります。

※飯田君のコメント:僕は、「大学が変われば社会が変わる」とは思っていないのですが、「大学でできなくて、どうして社会でできるんだ」という感覚があります。学園祭は、お客さんを始め、いろんなものさしを持った人が出会う場でもあるので、その機会を大事にし、さまざまなものさしや、その違いを認識していければいい、と思います。>>次のページ


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