大学を超えて「環境」でつながる学生たち 大学を超えて「環境」でつながる学生たち


Q2.所属する環境ネットワークの
主旨・活動内容を教えてください。(その1)

エコ・リーグ(by 二見剛)


 エコ・リーグ(全国青年環境連盟)は、1994年に発足したNGO。さまざまな環境問題を考え、行動する青年(29歳以下)をネットワークします。環境問題について考え、話し合い、何かしたい、といったさまざまな想いを持った人々のニーズに応えられ得る「場」をつくり、青年の環境活動を活性化させることを目的としています。東と西に事務所があり、数々の事業を通じて、約150団体、2000人をネットワークしています。

※ 編集部註:エコ・リーグ作成のリリースに載せられた現在ネットワークしている大学・団体を記載してみます。酪農学園大学、小樽商科大学、山形大学、福島大学、筑波大学、宇都宮大学、独協大学、埼玉大学、千葉大学、江戸川大学、大妻女子大学、慶應義塾大学、上智大学、創価大学、立教大学、東京大学、法政大学、東京農工大学、東京農業大学、明治学院大学、麻布大学、玉川大学、武蔵野工業大学、早稲田大学、東海大学、東京工業大学、多摩美術大学、一橋大学、東邦大学、麗澤大学、産能大学、東京国際大学、静岡大学、富士常葉大学、愛知学院大学、愛知淑徳大学、岐阜大学、名古屋大学、豊橋技術科学大学、金沢工科大学、新潟大学、滋賀県立大学、滋賀大学、大阪外語大学、大阪大学、京都教育大学、京都精華大学、京都大学、同志社大学、立命館大学、龍谷大学、関西学院大学、神戸大学、姫路工業大学、鳥取大学、徳島大学、長崎大学、熊本県立大学、久留米大学、佐賀大学、鹿児島大学、沖縄大学、神奈川総合高校、A SEEDJAPAN、SAGE、NICE、Eco LINK……他多数

参加には会員登録が必要です。会員申し込みの方法は、HPを見てください。
 エコ・リーグの活動は、ニュースレターの制作や、大学で環境を学びたい人の進学相談会&交流会などさまざまですが、最もシンボリックな活動がギャザリングです。毎年6月、12月頃に関東、関西両地域で、8月に全国規模で開催します。8月のギャザリングには全国の大学、団体から150名ほどが4泊5日で集います。他の大学や地域の活動を知ることによって、お互いに刺激を受けて、各自が自分たちの活動の形を見つけていくことができる場です。8月のギャザリングの実行委員は、全国に散らばっており、ミーティングも各地で行いました。たとえば、今回は静岡大学で、ということになれば、そこで集まることになります。その交通費の一部も、ギャザリング予算の中から出していくことになります。遠い大学だから加われない、といった意識はあまりないですね。 実行委員が近くに住んでいれば、週に1度くらいの割合でミーティングもします。
 エコ・リーグは何か色をもって活動するという団体ではなく、環境に取り組む人々が気持ちよく話をして、交流できる「場」を提供することが目的です。ロドリゲスさんとか、三四郎さんとか、さまざまな活動団体があって、エコ・リーグがそれを結ぶ棒のような役割を果たせたらいいな、と思っています。
 僕は昨年のギャザリングで実行委員長をやったのですが、山岸君に実行委員として助けてもらいもしました。すごくいい勉強になったと思っています。
 また、エコ・リーグのコアなメンバーで、交流を深めるために、皆で遊びに行くこともあるんですよ。

環境三四郎(by 飯田康喜)


1993年設立以来8年を数える、環境サークルには珍しい長寿サークルです(笑)。環境問題の解決を目指して活動する東京大学の学生・卒業生を中心とした団体。駒場キャンパスで活動している新2年生は7人です。活動には週何回とか何曜日に集まるとか、決まりはないのですが、先輩のご努力により部室ができましたので(!)、新入生の参加を期待しています。所属しているメンバーは卒業生も含めると約100人です。活動の場としては、駒場、本郷、リサーチセンターがあります。設立当初は駒場の学生が中心に活動していたのですが、3年生になって本郷に移った学生も引き続き活動をするということで、徐々に本郷も活動の場となっています。リサーチセンターというのは、「三四郎」創立時の先輩方が中心になって運営しているのですが、今の目標は教科書を作ることです。市民のための環境問題のテキストを目指して、内容を詰めているところです。
 活動は大きく分けて3種類あります。1つはテーマ講義、2つ目はキャンパス・エコロジー(略してキャンエコ)活動、3つ目は調査・提言活動です。活動を支える理念も3本の柱からなっています。「学習と行動」、「批判でなく提案」、「交流そして成長」の3つです。「学習と行動」というのは、単なる勉強会サークルじゃないんだ、そこでいっしょに活動することで見えてくるものがあるんじゃないか、という思いです。例えば、活動の柱である「テーマ講義」も「学習の行動」の理念に照らして行われるもので、今年8回目を迎えます。これは、オムニバス形式で行われる環境問題の入門講義です。異なる専門分野から12名の講師をお招きして、最終回のディスカッションも含め、全13回の講義を通じて「環境問題とは何か、今何が必要とされているのか、自分に何ができるのか」を考えていくことができる内容となっています。普段の生活と先生方の研究テーマをつなげて伝えられないかな、というのが僕らの意識にあって、先生に講義のお願いをしました。
第4回に農業経済学の立場から講義していただく矢坂雅充先生と打ち合わせをしたとき、面白い話を伺いました。先生は「年中ショートケーキに苺がのっているのはなぜだと思いますか」と言われました。苺には当然、旬があるわけですが、年中ショートケーキにのせるためには、生産者の方で無理をしています。実際消費者が食べるもの、あるいはその嗜好が、生産者サイドにどう反映しているかを知ることで、生活と環境問題を考えるわけです。(講義・第1回は4月13日小宮山宏先生の「地球持続の条件」。詳しい講義日程はHPでご確認を! 講義録もHPに掲載されるのでお楽しみに)

※ 編集部より「この講義に私がもぐりこんでもいいんでしょうか?」
飯田君の答え「ぜひ、もぐりこんでください(笑)」
※ 昨年、参加した織田竜輔君の感想「1回の講義は90分ですが、とてもリラックスした雰囲気で、講義後の先生を囲んでのディスカッションも和やかなムード。先生も普段おっしゃらないことを語ってくださり、非常に面白かった」

「批判でなく提案」は、文字通りの意味なのですが、環境問題は表面的に現れた問題だけを批判しても解決には結びつかない。環境問題以外の社会問題をも認識しつつ、代替案を提示することが重要だと考えています。東京大学の特徴の1つとして「シケプリ」というものがあります。試験対策プリントの略で、これさえあれば1度も授業に出ていなくても、試験をクリアできると言われるものです。常にノートをとる役割の人がいて、その人が作るのですが、試験前にはこのシケプリが大量に出回り、相当な紙の量になります。どうしたらこの紙を減らせるかということで調査し、両面コピーを告知したりしています。「交流と成長」では、学部などを超えて意見交換の場を作っていきたいと思っています。自分たちは環境を理解しているから誰かに教えてあげる、というのはなく、いっしょに学んでいく場を作っていきたいと思います。もともと僕は、最初に何らかの活動がしたいと思って「三四郎」に入ったのではなくて、環境への意識とか、話が通じる人を求めて入ったんですね。それを満たしてくれる交流ももちろんありますし、学校を超えた交流もあり、そこから多くの刺激を受けています。
「成長」というのは、広い意味があって、個人の成長もそうですし、「三四郎」の成長も、そして、環境問題に取り組む社会の成長、ということも言えると思います。「交流」を通じて、さまざまな成長を遂げていきたいですね >>次のページ


PAGE1 /「環境」を意識したのはいつ?
PAGE2 /所属する環境ネットワークの主旨・活動内容(その1)
PAGE3 /所属する環境ネットワークの主旨・活動内容(その2
PAGE4 /所属する環境ネットワークの主旨・活動内容(その3)