~地球の声に耳を傾ける~
エコピープル

2025年春号 Ecopeople 103
横浜市みどり環境局環境科学研究所
インタビュー

3 美しく、豊かな海 横浜の未来

編集部
海が持つポテンシャルを活かす横浜市ですが、横浜市環境科学研究所として未来に向けてさらに力を入れていることをお聞かせください。

小川
生物多様性の保全、地球温暖化対策などは、広く市民の皆様の賛同と協力があってこそ推進できる都市の課題です。横浜市環境科学研究所では、環境教育は未来の横浜の価値を高めるための“種蒔き”と位置づけ、横浜の未来を担う子どもたちにも、これらの課題の重要性を幼少期から感じてもらい、自分たちが住んでいる場所についての知識を深めてもらうために、環境教育に力を入れています。
横浜市では、市内の小学生を対象として「環境教育出前講座」というプログラムを実施しており、環境科学研究所も毎年、「横浜の海と海の生き物たち」などの講座を実施しています。環境科学研究所の講座は人気があり、応募枠が埋まってしまうほどの盛況ぶりです。
また、環境科学研究所では夏休み期間に小学生を対象とする「夏休みこども環境科学教室」も開催しています。
編集部
子どもたちの反応はいかがですか?

小川
とても熱心に話を聞いてくれます。
驚くほどの知識を持っている小学生もいて、毎回こちらが刺激を受けるほどです。
積極的に発言する子や、自分の経験を話してくれる子が居たりと、海への関心が高いことを感じます。
浦垣
未来を担う子どもたちが自分たちの住んでいる場所、横浜、その海を身近に感じ、関心を持っていてくれることを直接感じることができる出前講座を、毎年楽しく準備しています。

編集部
鎖国という210年の泰平の眠りから覚め、日本国として世界に向けていち早く門戸を開いた横浜、2025年の年初でもあり、未来への抱負をお聞かせください。

小川
横浜市は日本を代表する港湾・商業都市のひとつです。大きな都市環境を保全するべく調査・観測をすることは、やり甲斐のある仕事です。この横浜を舞台とし、環境研究の分野を牽引するような役割を担えるよう日々の課題に向き合いたいと思います。
浦垣
都市環境は夏季の猛烈な暑さなど、最近は毎年、前年の記録を塗り替えるような異常事態となり、過去の測定データの分析をベースとする課題解決法が通用しない状況になりつつあります。企業や他都市との共同研究などのアプローチも活用しながら、海の環境改善に向け取り組んで行きたいと思います。

横浜は東京都市圏の衛星都市の側面があるため、大阪市や名古屋市よりも企業の法人市民税収が小さく、市民の方々の個人市民税が税収の中心となっており、今後の生産人口減少の影響を受けやすい自治体です。
今後、市の財源がさらに厳しくなっていくと予想される中で、市民や企業の方々に横浜を選んでいただけるように努力し、市民や企業の皆様とともに、住みたくなるような魅力的な都市を創り上げていければと思っています。







出前講座の様子
提供|横浜市環境科学研究所