~地球の声に耳を傾ける~
エコピープル

2025年春号 Ecopeople 103

コラム

JFEスチール
鉄鋼スラグと海洋環境改善プロジェクト


鉱石から金属を還元・精錬する際など、特定の成分が溶融により分離することで発生する副産物を一般的にスラグと呼びます。金属製造工程起源のスラグは鉄鋼スラグと非鉄金属スラグに分けられ、鉄鋼スラグは、鉄鋼製品の製造工程で生まれたものを指します。

この鉄鋼スラグの成分は、鉄鉱石から鋼を作り出す還元・精錬のプロセスで生まれるシリカなどの鉄以外の成分が石灰と溶融・結合した副産物です。安定した品質をベースにさまざまな用途向けに加工され、「地球にやさしい」製品として出荷されています。
鉄鋼スラグの成分は、地殻や天然岩石、鉱物などの自然界に存在するものです、用途によって砕石や砂など様々なサイズの製品があります。

日本における鉄鋼スラグ利用の歴史は古く、明治時代に遡ります。高度成長期を経て、1970年代には鉄鋼スラグの資源化の動きが加速し、省エネルギー、省資源を担う重要な資源としての研究が進みました。全鉄鋼生成量の99パーセントが資源化された現在も、利用技術の開発や製造技術の改善が継続する貴重な資源として、世界の環境改善や持続可能な未来への礎として活用されています。
JFEスチールは地球温暖化対策の切り札ともなるブルーカーボン(藻場・浅場等の海洋生態系に取り込まれる炭素)による二酸化炭素吸収に貢献するため、鉄鋼スラグ製品による藻場創出に積極的に取り組んでいます。
海洋環境改善という“健康な地球を未来に繋ぐ”ために重要な海洋生態系を保全するため、地方自治体、学術機関、漁業関係者、ベンチャー企業などと連携し、全国で共同研究やプロジェクトを推進しています。

*海洋生態系を守る、鉄鋼スラグ製品による海づくり
*海域環境改善用粒度調整鉄鋼スラグ マリンストーン
*ブルーカーボンとは | 環境省
*参考文献:鐵鋼スラグ協会「環境資材 鉄鋼スラグ」








山下公園


面積|7.4ヘクタール(国有地を横浜市に無償貸与)
開園|1930年3月

1930年3月、関東大震災のがれきを埋め立てて造成された山下公園は、海に向かってベイブリッジや横浜のさまざまなランドマークを見渡せるパノラミックな眺望、周囲から一段低くなった部分を中心に植栽が配置された沈床花壇のバラ園、横浜ゆかりの歌碑や記念碑、日本の海運業の歴史を物語る氷川丸の係留地されるなど、海と緑、文化の魅力を組み合わせ見どころの多い海浜公園。第二次世界大戦後、米軍に接収された公園は1954年より段階的に解除され、1959年に全面解除。1961年にほぼ現在の形での整備が完了。2007年登録記念物として登録される。2009年横浜開港150周年記念事業『開国博Y150』の会場のひとつとなる。

*山下公園(中区)









氷川丸


横浜市:有形文化財指定(2003)
経済産業省:近代産業遺産(2007)
国:重要文化遺 [歴史資料] (2016)

起工|1928年11月8日 / 進水|1929年9月30日
竣工|1930年4月25日 / 就航|1930年5月13日 / 終航|1960年10月3日
全長|163.3メートル / 型幅|20.12メートル / 深さ|12.2メートル
総トン数|11,622トン
高さ|29.26メートル(水面からマストの最上端)
最大速力|18.21ノット / 航海速力16.0ノット

船が海外に渡航する際、唯一の交通手段だった1930年代、氷川丸は北米航路シアトル線に配船され、日本観光に訪れたチャーリー・チャップリン、英国王ジョージ6世の戴冠式出席後、帰路につかれた秩父宮雍仁親王、勢津子妃、講道館柔道の創始者で日本でのオリンピック開催に尽力した嘉納治五郎などが乗船。日本海運史上、最も華やかな時代を経験した現存する大型貨客船。
船内には、操舵室、船長室の他、エントランスロビー、一等特別室、一等社交室、一等喫煙室、一等児童室、一等食堂、二等客室、三等客室、機関室が整備され、ブリッジの神棚には船名ともなった氷川神社を祀ってある。
太平洋戦争の勃発によって、航路休止になるまでの11年3ヶ月の間に73航海。延べ1万人の乗船客を運んだ。1941年に海軍に徴用され、横須賀海軍工廠で海軍特設病院船に改装さて、戦地から終戦まで28回出動し、3万人に及ぶ傷病兵を日本本土に搬送した。
敗戦を受け、1945年12月、GHQからSCAJAP-H022の日本商船管理局の管理番号が付与され、1946年8月まで、戦地に残された日本人の引き揚げ任務に従事。45000人を日本に運んだ。その後、国内航路に就役し、1953年にシアトル航路に復帰。1960年の最終航海まで太平洋横断238回、延べ25,000人余りを運び、その航海を終えた。

*日本郵船氷川丸