~地球の声に耳を傾ける~
エコピープル

2023年春号 Ecopeople 95『三人三様、その未来の姿』

3 夢の始まり

編集部
前田さんの肩書には「女優」という記載もありますね?

前田
ハイ。中学時代の友だちとのコミュニケーションのもどかしさや、さまざまな境遇における人間の複雑な感情を知りたいという想いから、女優さんになれれば、それができるんじゃないかって思ったのが私の夢の始まりでした。
「それなら、女優さんになろう!」って思って、オーディションを受けたり、事務所に入ったり、レッスンを受けて、いろんな作品に出演する女優活動が始まりました。
高校生生の時は数学の先生のことが大好きになり、「私は数学が好きなのか、それとも先生が好きなのか?、どっちなんだろう?」みたいな状況になったんですけど、まあ先生のことも好きだし、数学も好きだったから、理系に進学し、先生たちと対等に話せるにはその世界を知らないといけないと思って、数学の先生になるっていう夢も新たに生まれたんです。
そんな訳で私は、数学の先生と女優という2つの夢をもって学芸大学に進学しました。
入学後は教育についての学びを深め、数学から技術科へと進み、教育の奥深さ、その面白さをどんどん知って「私は教師になりたいのじゃなくて、私は教育をやりたいんだ」と確信するようになりました。
同時に、どんな教育をやりたいかも具体的に見え始めて、別に先生にならなくてもできるなって思うようになりました。ただ、女優への夢も捨てきれなくて、“木育ガールキキちゃん”というキャラクターを生み出したんです。
ただ、キキちゃんとして女優の仕事をしているかというと、そうでもないんです。
お芝居や演技をすることもたまにはあるけど、私は人に伝えること、自分の表現で何か人に伝えることが好きなんです。
だから、久保寺さんも言ってらしたけど、自分が知っていること、その世界の中でしか選べないとしても、選んだ道をさらに進んでいくと、何でもできるようになるし、目標もどんどん変わってきている感じです。これからやっていきたい姿もより具体的になり、こういうものをつくり出そうっていう進むべき道も見えてきて、“木育ガールキキちゃん”が誕生したんです。
編集部
なるほど! “木育ガールキキちゃん”は現在進化中なんですね。
そういえば、山﨑さんも複数の肩書をおもちですよね?

山﨑
小さい頃から僕は興味の幅が広いんです。
ただ、教育関係の仕事をする父の影響もあり、教員志望というのはずっとありました。
同時に特撮映像作品が小さい時から大好きで、昔から映像や音楽を作るのが好きでした。いろんな興味が僕には同時に内在していて、それぞれの興味の間を縫うように次の目標を定めながら歩いている感じです。
学芸大に入学したのは、ずっと教員になりたかったから。ただ高校時代、教育に対して大きな疑問を抱いてしまった。毎日が受験予備校みたいな授業ばっかりで、これが「教育のあるべき姿なのか」と悩んでしまい、父にその悩みを打ち明けたんです。父がその時、こう答えました。
「教員とは、そうしたジレンマを抱えた状態でも教えていかねばならない。それはすごく辛いだろう」と。
結果、教師とは違う立場での仕事をしようと思い、大学では博物館学、図書館学を専攻しました。
大学入学後も映像製作も続けていたので、最初にお話ししたように、博物館学と映像が“特撮”というテーマのもとに繋がって、特撮コスチューム保存に関心が向かったのです。
先程来、他のメンバーの話を聞きながら、思ったことがあります。
僕は子どもの頃からずっと政治に興味を持ってきました。近所に政治家が住んでいて、小さい時からその人と政治について雑談をしていました。中学入試を控えた頃から、ニュース番組で政治関連ニュースを見るのが僕の習慣になっていました。
僕は現在、一人暮らしをしていますが、実家からバイトもしなくても暮らしていける生活費の仕送りを受けています。ただ、同級生の中にはバイト代で生活費を全部賄っている友だちもいます。彼らがすごく苦労している姿を見るにつけ、“大人でも子どもでもない”中途半端な学生は、すごく弱い立場なんだな〜って感じます。