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全部民営化だ!


――少しでもごみ処理の効率を上げるにはどうすればいいでしょう?


この仕事の全体を考えてみたら、結論としては民営化が必要です。ごみの収集だってさ、今の状態を見てごらんなさい。朝早くから奥さんたちが外に出て缶だ瓶だと分けて、寒い中瓶をゴシゴシ洗ったりして。労働力を市民が提供しているわけですよ。民間がやってごらん。ごみの分別なんて必要なくなるし、カラスが放置されたごみにたかってカーカー鳴くなんてことは無くなるんだから。
スケールアップしなくちゃいけないですよ。何も一つの清掃工場に500トン集めるのを限界にしなくていいんですよ。1000トンでも2000トンでも、日本がそのとき持つ最大の能力で10数ヵ所くらいサーマルリサイクルの施設をつくれば、日本中のごみは全部片付くでしょう。製鉄、セメント、鉱山を扱う会社が大型の施設を造れば、今ある施設なんて全部いらなくなるんだ。そういった会社は大きな空間を持っているし、おそらく遊休地もあるでしょうしね。また、船着場もある。船着場は有価物を海外に輸出する専用の埠頭にすればいいんです。焼却炉から大量に排出される燃えがらやダストは、溶融して質の高い埋立材にして臨海埋立てをすれば国土も広くなります。
今は、多くの市町村が焼却炉を持っているけれど、全国に10数ヵ所あればいい。あとは、物流コストの問題だけですからね。物流コストがかかるから小さな施設にする、というのが今の論理だけど、物流コストはかかっても大きな施設にしたほうが、全体のコストはダウンし、エネルギーや環境負荷物質の削減にしても、良い方向へ行くと思う。僕は大艦巨砲主義ですね。
 もちろん、1000トンのサーマルリサイクル施設に運んでいっぺんに処理できるわけではありません。前にも言った通り、「前処理」が大事なわけだから。そのために、大型の施設の周囲にハブ空港ならぬハブ施設を造って、そこで処理に当たればいいと思うんですよ。
そういう大きな構想で変えていかなければ、どうしようもない。
構造を大きく移行させるには、どうしても国の力が必要です。国がこの原理を理解して、10年なら10年のうちにモデル工場を一つやってみようじゃないかって、補助金を出して民間にテストしてもらう気になれば。そうなれば早いですよ。ともかく変革は、大きく変えることを前提にしなくちゃいけない。
民営化していくとね、ごみの量も減るんですよ。家庭のごみもね、個別収集ってことになれば減ります。分別せず、ごみは捨てればいいだけにするでしょう。それをいっぺんに燃やす。ただし、金はかかるよ、と。1キロ5円。そうすると奥さんたちも考えますよね。よし、うちのごみを半分にしようって。
 ごみの問題はね、人間が生きている限りずっと続くものなんですよ。貝塚だって、言ってみれば、ごみの遺跡でしょう。古代から現代まで、人間が生きるところにごみはある。僕はこれからも、ごみに関わっていくつもりですよ。END


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