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データの蓄積と変動する時代への対応



――2、3年ほど前から御社の収集された産業廃棄物を「川鉄サーモセレクト方式・千葉プラント」で大量に処理させていただくようになりました。南社長はこのサーモセレクト方式についてどう思われますか。

僕は、この仕事を始める前からガス化溶融について研究していたんですよ。でも、それを実現する施設を造ろうとしたら、大金が必要になる。そのうえ、発生するガスが利用できないんですよね。すぐ隣でガスを使用できる仕組みがあればいいけれども。ただ、ガスさえ使えればいけるな、とは思っていたんですよ。だから、川鉄さんの話を聞いたときに、ああ、前に考えてた方式だな、あのときはうまくできなかったけど、川鉄さんはうまくやったんだな、と思いましたよ。川鉄さんと組むことによってうちはサーマルリサイクルの有効な選択肢を得たわけですよね。より良いリサイクルのための連携、という意味で今後も宜しくお願いしたいと思っています。
ただ、相手はごみでしょう? いろんな物が混ざってきたりして、川鉄さんでも苦労されているでしょう。ごみ質によって変わるわけだから。難しいだろうなぁ、とも思っていますけれどね。
ごみ質は、千差万別なんですよ。製造物・生産工程・地域・時代によってごみの質と量が変わってきますから。
そのデータを持っていれば、データを入力してごみの質を調整すればいい、ということにはなるんですけれどね。長期間のリサーチが必要です。うちのデータが他で使えるものなら使ってくれたらいいんですが、データは場所によって違ってきますからね。ごみ質がガラッと変われば、燃やす油も変えなくちゃならなくなる。だから、ごみを一つ一つカロリー調整して、品質調整をしなくてはいけないのです。
焼却炉で一番難しいのは、この前処理ですよ。前処理にどれだけのお金と頭を使うか、です。カロリー調整のためにブレンドしてもっとも均一な性質のごみを前の日に仕込むんですよ。500トンなら500トン、置いておく。置いてあれば当日はがっと燃やせる。前準備をせずに、焼却で熱をコントロールするほど無駄なことはないですからね。
僕らの仕事っていうのは、一定の品物をつくっているわけじゃない。時代の変化と競争しつつ進みます。そのときどきの判断は、それまでの年月のデータ蓄積によるわけですよ。非常に変動性が高く、しかも危険と隣り合わせで仕事をしているってことですよ。
ちなみに、うちは『環境と安全』を企業理念にしています。まず、客先から廃棄物を運搬する際には、2重3重の安全設計(フェイルセーフ機構)を施した当社独自設計の車両を使用する。また、約200名の収集運搬担当ドライバーのうち、9割が特定化学物質等作業主任者の資格を持っています。危険物取扱者の資格取得者も60名以上いますからね。>>次のページ