編集部:確かに自動車を取り巻く環境も消費者の意識も大きく変わりつつありますね。景気浮上策として昨年来打ち出されたエコ減税とHV車の低燃費の魅力はマーケットに広く浸透し、街を走る車両が様変わりしているのは日々、実感できるほどです。
石川氏:電気自動車(EV)についても、2020年には世界全体で600万台の販売予想も公表されるようになり、我々は販売される全自動車の90%がエコカー、つまりEVとHVになるだろうとの試算も出しています。
そして私どものシミュレーションでは、インフラの整備次第では電気自動車の販売台数はさらに大幅に伸びる可能性を秘めていると考えています。
というのも、自動車へのCO2規制強化は今後さらに進むはずです。特にEU諸国は2012年までに1キロあたりで120gの削減、2020年には90gと明言していますし、石油価格の上昇も予想されます。つまり、世界の趨勢として、次世代自動車の時代がすぐそこまで来ているのです。
私たちは、電気自動車の普及は社会が期待している"CO2削減へのひとつの解"であると考えています。が、現状では、その普及を阻むふたつの大きな壁があることも事実です。
編集部:何故、急速充電器は必要なのでしょうか?
石川氏:これには、充電スピードとランニングコストの検証で明白な数値がでています。まず現状の充電器では、充電時間が30分もかかってしまうのです。最近の弊社が実施した1200人を対象にしたアンケート調査では待てる充電時間は3〜5分と言われています。私たちは充電器を設置するインフラをガソリンスタンドとコンビニを想定しているのですが、先に入った一台が充電するのに30分もかかっていたら、次の一台はコンビニ滞在平均時間の3分以内では到底用事が済まなくなってしまい、もはや"コンビニ"ではなくなってしまいます。さらに、現状の設備をガソリンスタンドが導入しようとすると、トランスを増強する必要があるため約900万円の非常に大きな初期投資になってしまうのです。しかも基本料金のアップというランニングコストも上昇してしまい、これではインフラ整備を真剣に検討する素地がないも同然です。私たちが開発した急速充電器は3分間で50%の充電が可能になり、初期投資も少なく、短時間内で航続距離が80キロという充電が実現できるのです。