編集部:フェアーな現状分析をした上で、社会全体を根本的な解決に導く戦略と戦術を持つということですね。早速ですが、そのシナリオのベースとなった現状の数値の検証、"CO2削減"へのシミュレーションをお聞かせいただけますか?
石川氏:1990年比で2020年までに25%削減するとい政府が発表したCO2の削減目標達成への試算があります。ご承知のように昨年、自民党から民主党に政権が移り、日本政府が世界に向かって発表したCO2削減への目標値はさらに高いハードルとなりました。2012年には京都議定書の最終年度を迎え、私たちは世界に明言した削減目標を粛々と達成していかなければなりません。この数値を達成するには、私たちはどの分野で、どの程度の努力をしなければならないかをJFEとして独自に検証してみました。
日本全体として、分野別に整理してみるとこんな風になるのではないでしょうか? まず、次世代自動車として注目が集まる電気自動車(EV)とハイブリット車(HV)の徹底導入、それから一般住宅も含んだ地域での太陽光発電や省エネ空調の普及、建築物の総合管理システム化による省エネの徹底、工場等では熱効率の高い高性能工業炉の導入や原子力発電の稼働率アップ、さらに日常生活のシーンでのこまごました省エネ行動などが上げられるかと思います。
私たちの試算では、それぞれの分野で一生懸命頑張っても、現在の状況から10年後にやっと15%が達成するのがやっとではないかという数値が出ました。もちろん、太陽光発電などの分野では戸別住宅への徹底普及などが実現させれば、この分野では飛躍的な伸び率は期待できるでしょう。しかし社会の全体として捉えると、まだまだ圧倒的に足りないのです。 ただし、今申し上げた項目の中で、次世代自動車の分野は、戦略を抜本的に見直せば、CO2削減目標への数値を格段に伸ばせる余地があることが見えてきたのです。