鉄鋼スラグとはどんなものですか?
鉄鋼スラグというのは、鉄を作るときに、副産物として生まれてきます。
鉄鋼スラグは、大きく「高炉スラグ」と「製鋼スラグ」に分類されます。
これらの鉄鋼スラグは古くからリサイクルに取り組んでいて、
ほとんどが材料として利用されています。


高炉スラグの誕生とリサイクル

高炉水砕スラグ覆砂材

高炉水砕スラグ覆砂材


鉄を作るときには、鉄分を多く含んだ鉄鉱石とこれを還元するための石炭の成分調整のために石灰石を原料に、これらを加工したものを溶鉱炉(高炉)に調合して装入します。高炉の中では、鉄鉱石の中の鉄分を石炭中の炭素で還元して、溶けた鉄(銑鉄)が作られます。このとき、鉄鉱石の中の、鉄以外の成分(酸化物)は、石灰石と反応してスラグとなって、銑鉄の上に浮いています。この銑鉄の上に浮いたスラグを、冷やして固めたものが、高炉スラグです。

高炉スラグは冷やし方によって、道路やコンクリートの骨材(石)として使用される高炉徐冷スラグと、高圧水で急冷し砂状に固まった高炉水砕スラグがあります。高炉水砕スラグは、小麦粉のように粉状に粉砕してセメント材料として使用されたり(高炉セメント)、砂状のまま。コンクリートの細骨材(砂材)や、ヘドロのたまった海底を浄化する覆砂材として利用されています。高炉セメントはCO2の排出量の小さいセメントとして、地球温暖化防止にも貢献しています。
製鋼スラグの誕生とリサイクル

マリンブロック(R)

マリンブロック(R)

高炉で生まれた銑鉄は、炭素を多く含んでいて、そのままでは衝撃に弱いもろい鉄で、世の中で使われる鉄板などに使うには、炭素を取り除き、さらに成分調整が必要です。この炭素を取り除き成分を調整するのが転炉です。転炉では、溶けた銑鉄に酸素を吹きかけ炭素を取り除くと同時に、銑鉄の上に石灰を装入し鉄の成分調整を行います。

この石灰と銑鉄中の成分を反応させたものが製鋼スラグです。最近では、転炉の工程の効率化のため、銑鉄を転炉に装入する前に石灰を反応させて成分調整する工程(溶銑予備処理)が導入されており、ここでも転炉同様の製鋼スラグが生成します。製鋼スラグは、冷やして固めた後に破砕され、砂抗(サンドコンパクションパイル)の材料や工事現場の道路(仮設路盤)の材料などにリサイクルされています。最近では、海洋工事の中仕切り堤防や潜提材としても利用されています。

製鋼スラグは鉄分を多く含んでいるので、海藻の基盤や漁礁の材料として以前から注目されています。また、カルシウムも多く含んでいるので、これと二酸化炭素を反応固形化した炭酸化固形体(マリンブロック)が開発され、岩礁性藻場やサンゴの基盤材料として、海洋環境の修復、二酸化炭素固定の両面で注目されています。

鉄鋼スラグについての詳細
五日市地区干潟
広島県が事業主体となって、進んでいる港湾環境整備事業。広島港西部に流入する八幡川河口の干潟には84種におよぶ鳥類が採餌、休息の場となっていたのでが、埋め立てによって、その大部分が消滅してしまった。このミチゲーションとして、河口の隣接地区に、延長1キロメートル、幅250メートル、面積25ヘクタールの干潟を造成しています。生物の生育環境と確保と底質の浄化がこの港湾整備のテーマとなっています。

広島港湾振興局 広島港五日市地区干潟