食材小辞典
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レモン

ビタミンCの単位はレモンが基準

 
故郷はヒマラヤの麓

原産地はインド北部のヒマラヤの麓。レモンは別名を枸櫞(くえん)とも言い、クエン酸の名称はこれに由来します。ミカン科の常緑低木で、樹高は3mほどにまで育ちます。枝には棘があり、葉は厚みのある菱形か楕円形で縁は鋸歯状なので、庭木として植える時は十分注意して扱ってください。 また、レモンなどの柑橘系の樹木は根から他の植物を枯らす成分を放出するので、植える場所はよく考えてから植樹する場所を決めることをお勧めします。

レモンの木は紫色のつぼみを付け、白かピンク色の五弁の花は実と同じような強い香りを放ちまる。果実はラグビーボール形(紡錘形)。 緑色の実は熟すとおなじみのレモンイエローになります。

 
レモンは潮風が好き

日本では、蜜柑などの柑橘類の栽培地にほぼ重なり、潮風にも強い特質から海岸沿いの地域で栽培されています。1本の樹で100個から150個ほどの果実が採れ、気候によっては短径でも10センチ近くになる大型のレモンがなることがあります。

 
ビタミンCの単位はレモンが基準

ビタミンCを豊富に含むレモンは、“レモンの何倍とビタミンC含有量”などとその他の食品のビタミンCの単位として例えられています。 「レモン1個分のビタミンC」とは20mgのことを指します。 ただし、清涼飲料水などに含まれるビタミンCはデンプン粉を発酵させたもので、レモン果汁が原料のものは少ないようです。また、レモンを紅茶に入れると色が薄くなるのは、ビタミンCの還元作用によるものです。

 
食用のレモン:【実】

果汁として食用に利用するパターンが主流であることはご承知の通り。pH2の酸っぱさを持つ、 果汁を絞ってジュースやレモネード、レモンスカッシュなどの清涼飲料水として飲んだり、味に強みを持たせる目的で調理や製菓に大活躍しています。果実のまま料理に添え、食べる際に果汁を絞り、トンカツなどの揚げ物や生ガキにかけたりされるのも味覚を高めるだけではなく、最近の研究で、レモン果汁中に食後の脂質代謝を促進する成分が確認されています。

 
食用のレモン:【実】

レモンの皮を砂糖で煮つけ、グラニュー糖をまぶしたものはレモンピールと呼ばれ、ケーキなど洋菓子の製菓材料としても活躍しています。カクテルに添えられるレモンの皮、擦りおろした皮を絞りかけることも同じくレモンピールと呼ばれます。 ただ、輸入レモンは輸出時に発癌性のあるポストハーベスト農薬をかけられていることがあるため、お値段はかなり高めになりますが、編集部は国産レモンをお薦めします。 レモンの皮にはd-リモネン (Limonene) というテルペン系炭化水素が含まれており、あのレモンの独特な香りの重要な成分となっています。
レモン以外にも、温州みかんやオレンジなど他の柑橘類の皮からもとることができ、天然物由来の溶剤として利用されています。具体的には、油汚れを落とすための洗浄剤の成分として使用されたり、発泡スチロールを溶かすため、発泡スチロール・リサイクルにも利用されています。

 
食用のレモン:【実】

葉っぱも調味料として用いられ、広東料理の一品“蛇スープ”では定番の薬味です。グルメを自認される皆様は是非お試しください。

   
   

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