~地球の声に耳を傾ける~
エコピープル

2025年秋号 Ecopeople 105中野信子さん
インタビュー

2 人間社会は密画

編集部
SNSの普及によりグローバリゼーションが加速し、世界各地の出来事がニュースとして瞬時に地球を駆け巡るようになりました。
その中で目につくのは、世界各地で急速に進む社会の二極化、この“分断”をもたらす概念があるとしたら、それは何でしょう?


中野
急速に進んでいるのかどうかは、印象論的に語られがちですが、検証が必要かとは思います。
とはいえ、進んでいるという前提から言えば、例えば「平等」という概念は二極化を生みやすいキーワードになってしまっていることが否めません。結果の平等と機会の平等が異なるからです。私たちはこの言葉を日常的に使い、当たり前のように対話や交渉で用います。けれども多くの方がご存じのとおり、人間社会は平等ではありません。

個人はそれぞれに異なる体力と知能、性別や年齢、文化的素養、経済的背景、そして独自の個性を持っています。
従来、平均値への到達に課題のある人への支援に焦点が当てられてきたと思います。現代的な課題としては、卓越した知能や才能を持つ人に平均的な教育を“平等”の名の下に強要してしまうことが、イノベーションや創発的知の萌芽を摘み、長期的には国家的な損失が生じてしまうことでしょう。

一律に「平等」「誰もが同じ」を強制するかのような既存の価値観やルールでコントロールしようとすることは良策とはとても言えないでしょう。
異なる個性と考えを持つ個人によって構成された世界を解像度よく“蜜画”として捉え、未来設計図を描くべき段階に入っています。