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エコピープル|レポート02:漫画家 赤星たみさん

赤星たみこさん
漫画家(名刺の肩書きは「ゴミ漫画家」)


あかぼし たみこ
1957年宮崎県生まれ。1979年『タラッタ★ポン』(「MiMi」講談社)デビュー。代表作は『NEWキス・ミー』『でがらしTV』『別れたら好きな人』など多数。また、著書に『私は趣味のエコロジスト』(メディアファクトリー、共著)『はいッ!ガンの赤星です!!』(扶桑社)『ゴミを出さない暮らしのコツ』(大和書房)がある。10年ほど前からエコロジーに関心を持ち、執筆のほか、講演の依頼も多い。日経新聞、火曜日の夕刊に連載中「エコロなココロ」は大好評

「私は趣味のエコロジスト」と自称する赤星たみこさん


コロジストの日常は、さぞやストイックで複雑な作業に満ちているのだろうと思ってしまいがちですが、「私は趣味のエコロジスト」と自称する赤星たみこさんの考えるエコロジーは、普通の暮らしの中で誰でもがすぐに実行できて、しかも気持ちがよくなることばかり。漫画家として多忙に過ごされつつ、「キラクで身近なエコロジー」を提案し続けておられる赤星さんに質問します。

赤星さんへの7つの質問

1. 赤星さんは「エコロジスト」なんですよね?

―――私はバリバリのエコロジストではないんです。いわゆるエコロジストが要求することはレベルが高すぎて普通の人は尻込みしてしまう。そうじゃなくて、本当に身近でささやかなことも「やらないよりはましじゃない」っていうのが私の立場です。立派な1人のエコロジストが100歩進むより、何も意識していなかった1万人の人が1歩進んだ方が効果は絶大なんです。だから私は普通の人のやる気をそいでしまうなバリバリのエコロジストは環境に悪いって思います。

2. エコロジーに関心がないわけではないけれど、どうすればいいのかわからないという人が多いと思います。何から始めたらいいのでしょう。

―――本当に小さなことでいいんです。例えば私は先だってのコラム(日経新聞連載「エコロなココロ」1月25日掲載)に、スーパーマーケットで自動ドアを使わずに手動のドアで出入りしたら少しは省エネになる、と書きました。実際にはこの効果はほとんど無いに等しいかもしれません。でも、これくらい簡単にできることで「今、私は省エネした」と思うことが大事です。その気分を覚えればきっと次のことを探したくなりますから。

3. でも、少しやってみると嬉しくなる一方で、完璧じゃないこともわかってきて忸怩たる思いを抱いてしまいます。いざ、始めたらどこまでやったらいいのでしょうか

―――忸怩たる思いを抱く、すばらしいことじゃないですか。その思いが工夫につながる。何か一つやってみたら満足して「次のものを探そう」と思えばいいし、「ああ、今回はできなかったな」と落ち込んだりするときも「次があるからいいや」と思えばいい。どこまでやったらいいのかなぁ、という質問の答えは「好きなところまで」。そして、今、正しいとされているところまで。 どんなことも今、正しいと言われていることが10年後正しいと言われているかどうか、それはわからないんです。新しい理論がどんどん出てくるし、10年前は検出されなかったものが、検査方法が変わって発見されることもある。だから、今、いいと言われていることをとりあえずやろう、と思います。
 例えば7年前、私がこの家に引っ越してきたときには、焼却炉を作って大喜びだったんですね。でも、ダイオキシンの問題が言われるようになって、そうか、家ではゴミを燃やしちゃいけないのかということになった。それは、しょうがないこと。だから、今、新聞、雑誌、テレビで言われている情報を見て、いいと言われていることをするしかないんだと思います。

4. 環境に関する正しい情報は、どうやって入手してらっしゃるのですか?

―――生活に関わる環境の情報というのは、気をつけていれば誰でも手にできます。高価な専門書にしか書かれていないようなことはあまりないんです。テレビを気をつけて見ていれば環境問題って結構やってるんですよね。そういうときに、ただ漠然と見ているだけじゃなくてちょっとメモをとったり、とかね。?と、言いながら私はメモをとったことは一度もないですけどね(笑)。とにかくタダで入ってくる情報なんですよね。

5. 人々の行動をご覧になって、これだけは直すべきだと思われることはありますか?

―――いちばんいけないのは何にも考えないこと。ちょっと考えて心を痛めればいいんです。例えば、ごはんを残しちゃったときに何にも考えずに捨てるんではなくて、「ああ、余っちゃったなぁ」と心を痛める。何も無理して全部食べることはないと思
うんですよ。無理して食べて成人病になったらしょうがないですからね。ただ、少し心を痛めれば、次は食べきれる量を作ろうとする。余ったら、次の日の料理に使おうっていう工夫をしていけばいいんですよね。

6. 赤星さんが日々の生活の中で、常に意識していらっしゃることはなんですか?

―――私はいつも行動するときに、よく「どっちが環境にいいかなぁ」ということを考えます。買い物のときもそう。品物を選ぶときにどっちがゴミが少ないかなぁ、と考えるんです。例えば、リンゴを買うとします。プラスティックのケースに入っているものがありますよね。それから、その上にさらにラップが巻いてあるものがある。そして、袋に入っているものがある。まず、ラップされているものは論外。バラ売りがあったら、迷わずバラ売り。ただし、リンゴに白い網がついているものは論外。それでも、もちろんどうしても欲しいものは買いますよ。法律違反じゃないんだから。ただ、基本的にゴミを減らす商品を選ぶように考えるわけ。値段とか品質よりもゴミの少なさを基準に買っています。でも、今後家庭ゴミも有料化されれば、多少高くてもゴミが出ない商品を選んだほうがトータルでは安くなるかもしれませんね。

7. 一人一人が個人レベルで半歩ずつでも進んでいくなかで、企業の取り組みに対してはどう思われますか?

―――企業はそれぞれに工夫していると思います。ISOを取得したり。環境にいかに取り組んでいるかがセールスポイントになるわけですから。 昨年の第33回東京モーターショーではエコカーがメインでした。でも、一般の人の反応はよくなかったそうです。そこで思い知ったことは、これだけエコロジーが取り沙汰されても、一般の人の関心は高まったとはいえ、まだまだ低いということ。スーパーカーがずらっと並んだときに、それがすべてエコカーだという時代が早く来てほしいですね。

赤星さんお勧めの「今日からできるエコロ」

Refuse=断ること。

過剰包装、スーパーの白い袋、コンビニのお弁当についてくるプラスティックのスプーンやフォーク?「けっこうです」と言うだけでいいんです。ゴミがぐっと減ります。

せっけんシャンプー。

合成洗剤を排出しないことになります。液体状のものも売っていますが、赤星さんは固形せっけんで洗うのだそう。ゴワゴワは、お酢のリンス(洗面器一杯のお湯におちょこ一杯のお酢)で解消。赤星さんは洗い髪にオリーブオイルをつけて仕上げ。赤星さんの髪、しっとりサラサラでした。

食器洗いにゴムべら。

カレーやシチューなどのお皿を洗うときに、始めにゴムべらでこびりついた油汚れを新聞紙かボロ布などに取って燃えるゴミとして捨てます。あとは洗剤をたくさん使わなくても食器洗い、らくらく。

ほかにも、アイディアいっぱいです。
詳しくは赤星さんのホームページ、またはご著書をどうぞ。

赤星さんのサイト
http://www.akaboshi.com

赤星たみこ著
ゴミを出さない暮らしのコツ
大和書房刊/定価1500円+税