死の門をくぐる。
荒漠たる世界。
なにもない風景の広がり。
時間の感覚がなくなっていくようだ・・・
頭の中の映像はそこでいったんとぎれ
ノイズとともにシャットアウト。
さあ、やり直しだ。
OK テイク2!
太鼓とともにサンバのリズムに乗って
現れたるは黒いオルフェ!
いやいや、ここはマサイマラ。
広大なるケニアの大地だ。
抜けるような空とどこまでも広がる大地。
音楽の主はマサイの戦士。
聖なる牛の血とミルク。
高く高くとび跳ねながら
風の中で音楽が生まれる。
草の匂いが素晴らしい。
カバが水を浴びている。
キリンの群れを横切り、
ゾウの群れを追いかけ、
太陽はいつまでも沈まない。
何という”抜け方”だろうか。
アフリカという抜け道を発見できなかったら
ヨーロッパは自らの文明の重みで
崩壊していたかもしれない。
アフリカへテッポーでも打ちにいくさ、
とうそぶいたランボウは
詩人というより預言者だった。