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北から南へと長い日本列島、私たちの国に変化に富んだ自然があります。そしてその自然が育んだ豊かで変化に富んだ食材があります。『エコキッチン』の中島先生の活動拠点、新潟は海、山、川、里、美味しい食材に恵まれた土地柄です。さて、『エコキッチン・番外編』は、先生にもご同行いただき、実際に“おいしいもの”を作っていらっしゃる方のお話を伺うという趣向です。第一回は蔵元、朝日酒造。“淡麗辛口”と評される新潟の酒、世界が注目する“SAKEづくりの今”をレポートします。 |
歩合で種類が決まる酒づくり。普通酒・本醸造酒・大吟醸酒、それに加えて純米酒・特別純米酒、純米大吟醸酒の6種に大別できる酒づくりの原点はなんといっても精米技術の制度が決定します。小さな米粒の中心にあるのが心白(シンパク)というデンプン質、これが酒の命となる酒米です。私たちが通常食べて美味しいと感じるお米のたんぱく質や脂肪は、酒づくりの上では雑味となる邪魔もの、これを徹底的に除くことで上質な酒が生まれます。 酒米となる『千秋楽』は朝日酒造が40年ぶりに復活させた幻の品種、これに加えて『五百万石』、『たかね錦』なども酒米として選ばれ、契約栽培グループとの連携の下、安心で安全な米だけが原料となります。 |
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精米された酒米は丁寧に洗われ、蒸し上げます。外は硬く、中はふっくらが、最高の蒸し加減、この米に麹菌をふりかけ、やさしくもみます。麹菌が酒米の真ん中へ向かって食い込むように、二昼夜かけてこの作業をすることで、米のデンプン質が糖質となり、麹(こうじ)に変化します。 |
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米に水と麹を加えることで、デンプンは糖質に変化します。この糖質をさらに酒に変えるのが酵母の働き、この酵母を大量に増やし育てるのが『酒母』の役目。この際の仕込み水は朝日神社の湧き水『宝水』、美しい自然の恵みがあってこその酒づくり。ここでも新潟ならでは地の利を最大限に生かします。仕込みから約2週間で完成する酒母は、繊細な温度管理が必要なデリケートな作業です。 | |||
酒母に蒸米、麹、水を三段階で加え出来上がったのが『醪』、この『醪』は元気な泡を立てて、発酵を続けます。泡の大きな大玉は糖化と発酵のバランスがいい証拠。発酵が終わり、泡がなくなるときには「ぷちっぷちっ」という音が聞こえます。さて、醪たちの発する“声”で杜氏はしぼりのタイミングを見極めます。ゆっくり、ゆっくり絞ることでようやく清酒が誕生!最終段階の、この丁寧な絞りの作業が濁りや酒の雑味を排除します。この時に出る『酒粕』は隠れた人気食材、今回の中島先生のレシピにも登場する新潟の冬の味です。 |
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出来上がった清酒に火入れ(加熱殺菌)をしたら、タンクに移され、快適な冷暗所で清酒たちはしばしの休息。この段階でも味と香りはゆっくりと深まってゆきます。こうして出来上がった酒が全国に出荷されてゆきます。 | |||
日本酒は少し燗をして飲むのが一番。冷たいと味が分らないので、ぬる燗がお勧めです。大ぶりの陶器の酒器を湯で温め、そこに酒を入れ、ぬる燗になったらぐいのみに注ぐ。こうすると、酒に直接熱が伝わることなくぬる燗の酒が味わえます。ぜひお試しください。 | |||
朝日酒造 創業1830年(天保元年)、屋号は久保田屋とし、現在の長岡の地で酒造りをはじめる。以来、酒づくりを地域文化の発展と共にあるとし、新潟清酒の本流の蔵元として高い評価を受ける。さらに緑豊かな自然環境を次世代につなげるための事業『こしじ水と緑の会』を立ち上げ、自然保護活動の助成なども行なう。 〒949-5494 新潟市長岡市朝日880-1 tel : 0258-92-3181 www.asahi-shuzo.co.jp |
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酒林(さかばやし)とは、スギの葉(穂先)を集めてボール状にした造形物。日本酒の造り酒屋などの軒先に緑の杉玉を吊すことで、新酒が出来たことを知らせる役割を果たす。「搾りを始めました」という意味である。吊るされたばかりの杉玉はまだ蒼々としているが、やがて枯れて茶色がかってくる。この色の変化がまた人々に、新酒の熟成の具合を物語る。今日では、酒屋の看板のように受け取られがちであるが、元々は酒の神様に感謝を捧げるものであったとされる。 |
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