わが家の冬の週末は、いつもお鍋料理と決まっている。ポン酢で食べる水炊き、ちょっと辛いチゲ(鍋)、大阪名物うどんすき。おこたに入って、湯気をふぅふぅ揺らしながら食べる夕食は、新潟の寒い冬ならではのごちそうなのです。そしてどのお鍋にも必ず入るのが牡蠣。

ご存知の通り、ぷりぷりの身の中には、おいしいエキスと栄養がたっぷり詰まっていて、鍋のほかにも牡蠣フライ、牡蠣グラタン、牡蠣のパスタ、牡蠣ごはん・・・と、そのレシピもいろいろ。毎日でも飽きずに食べられる。そういう私も、昔は牡蠣があまり好きではありませんでした。あの独特の磯の香りがイヤだったのです。

『牡蠣のパイピザ』
●材料
・ 牡蠣180g
・冷凍パイシート…1枚
・ブロッコリー…1/2株
・ブルーチーズ…50g
・クリームチーズ…50g

(1)
牡蠣は洗って水気をきる。ブロッコリーはゆでて半分に切る。
(2)
パイは室温に戻し、四方2cmずつ伸ばし、5mm折り返す。
(3)
ブルーチーズ、クリームチーズは室温に戻し、練り合わせる。
(4)
(2)に(3)をぬり(1)をのせる。それからオーブンシートにのせ、200℃のオーブンで約17分焼く。


それが、今から10ウン年前、パリで食べた生の牡蠣のおいしいことといったら!実は生で食べるのはそのときが初めて。レストランの店先に、ドンと盛られた殻付の牡蠣を見て“どんな味がするのだろう・・”と興味はものすごくあったものの、食べる勇気はなかった。(だって銀皿に盛られた牡蠣を食べる姿は、かなり仰々しく、結構目立つ)。ある日知り合いから夕食に招待され、そこで殻つきの生の牡蠣をいただいたのです。

エシャロットを細かく切ったものに、赤ワインビネガーを合わせたものをかけて、ちゅるりと食べる。う〜ん美味い!たぶんそのときの私は、まるで漫画で書いたような“うっとり”顔になっていたに違いない。それからというもの、牡蠣のイメージがガラリと変わり、あの“磯の香り”の虜になってしまったのです。



『牡蠣と里芋の炒め物』
●材料
・牡蠣…180g
・里芋…10個
・ ごま油大匙…1
・しょうゆ大匙…3
・みりん大匙…3
・紹興酒大匙…3

(1)

牡蠣は洗って水気を切る。

(2)

里芋は耐熱皿にのせて水をふり、ラップをかけ、8〜10分レンジにかける。串がスッと通るまで蒸し上がったら、粗熱をとって皮をむく。

(3)

フライパンにごま油を熱し、牡蠣を炒める。里芋を入れて炒め、紹興酒、しょうゆ、みりんを入れて焼きからめる。好みで七味をふる。







私の料理教室でも、この季節にはよく牡蠣料理が登場します。牡蠣好きは多く、ほとんどの生徒さんに喜ばれるのですが、中にはアレルギーの人もいるので注意が必要。特に一度でも牡蠣にアタッた事のある人は、もう二度と食べることが出来ないようです。気の毒です…。

ということで、今回のお料理ももちろん牡蠣。市販のパイシートを使うので、食べたいと思ったときにすぐに出来る。伸ばしたり折ったりの作業は子供も大好きだし、なんといってもカンタンなので、まかせておいて大丈夫。もう一品は、これまた冬においしい里芋と合わせた炒め物。どちらもチャチャッと仕上がる。私は片手に白ワインでも持って、牡蠣の香ばしい匂いに酔うことにいたしましょう。 [食材小辞典/「牡蠣」について詳しく→]

【牡蠣の上手な選び方】
殻がしっかりと閉じ、整った卵円形でふくらみがあり、見た目より手にとった重量感のあるものが良いでしょう。むき身の場合は、粒が大きく牡蠣特有の磯の香りがあり、灰白色で盛り上がり艶のあるもので、液汁が混濁してないものが、美味しく新鮮だと言われています。

また、店頭の牡蠣は「加熱用」と「生食用」を区別することが義務づけられています。加熱用は鮮度が落ちていると思われがちですが、どちらも同じ。違いは、生食用が出荷前にきれいな水の中で体内の水分をすっかり取替えられるという点です。そのため、多少身が縮み風味が損なわれますので、熱を加えて調理する際は加熱用を選びましょう。


【牡蠣の下ごしらえ】
殻をたわしでよく洗い、平らな方を上にして持ち、殻のすき間に貝むきを刺し込んで柱を切り身をはずします。その際、手を傷つけないよう軍手をするといいでしょう。
その他、殻のまま軽くレンジにかける簡単な方法や、殻の膨らんだ方を下にし直火にかけ、口が開きはじめたらこじ開けるというやり方もあります。その際、火にかけ過ぎないよう注意しましょう。むき身の場合は、大根おろしの中で静かにふり洗いをし、さらに薄い塩水で洗い、ぬめりや汚れを取り除きます。

【牡蠣の保存方法】
殻つきは冷蔵で2〜3日。むき身は買ってから冷蔵で1〜2日が目安です。また、酒をふって加熱した後、冷凍しておけば安心です。