栄養価が高くて、捨てるところなくまるごと食べられるイカは、わが家の食卓にもたびたび登場する食材のひとつ。お教室をしていると、イカを自分で下処理したことがない生徒さんが意外と多く、“足をこうやって引っ張って、わたを取り出して…”と説明すると、みなさんキャーキャー言いながら、初めてのイカさばきに挑戦。とても賑やかです。1度やってみると案外カンタンなので、それからはお家の定番になった、という方々もたくさん。

今から10年ほど前に、パリのお料理の先生が、小さなヤリイカをマルシェで見つけ、私と一緒にイカ料理を作ったことがあります。彼女は普段はイカを食べないようなのですが、このときは私が日本から持参した素麺を使って、「ヤリイカとトマトのパスタ風素麺」なるものを作りました。イカわたとのコクと、トマトの酸味が効いていて、とてもおいしかったのを今でも覚えています。それ以来、イカのイメージが変わり、レパートリーもずいぶん増えました。


「わた入りチャーハン」の作り方
材料
・スルメイカ一杯
・ ごはん茶碗2杯分
・ にんにく2カケ
・ 玉ねぎ1/2個
・ 卵1個
・ しょうゆ大匙2
・ ごま油大匙3
・ 塩、こしょう少々

1. イカはわたを取り出してほぐし、塩少々をまぶす。身は5mm厚さの輪切り、足は食べやすい長さに切る。
2. にんにく、玉ねぎはみじん切りにする。
3. フライパンにごま油大匙2を熱し、「2」を入れて炒め、香りが出たらわたを入れて炒める。色が変わったらイカを入れてさっと炒める。取り出す。
4. 「3」のフライパンに残りのごま油を加え、卵、ごはんを炒める。「3」を戻し、しょうゆ、塩、こしょうで味を整える。

種類も豊富なイカですが、今回はお値段もお手ごろで、なんといってもわたが大きなスルメイカを使います。まずは黒光りしていて、ポコンと丸みをおびているものを選択。うちの近くの市場では、朝収穫されたばかりの新鮮なものが並び、このようなイカはお刺身にしても、煮ても焼いてもおいしい。

イカの下処理はいつも娘の係りです。きれいに洗って、指を中に入れて足と胴体の部分をそっとはがし、ググッと引っ張る。わたが大事なんだからね。破らないでね。そ〜っと、でも一気に!!ついつい力が入る私の声に、娘はちょっと迷惑そう・・

すぽんと気持ちよく抜けたら、わたについているイカ墨(これも破らないよう気をつけて。少量でもそこらが真っ黒に。)を取り、ほぐして塩少々をふっておきましょう。身は中をきれいに洗って、軟骨を取る。今日は2杯用意したので、にんにくとわたの香ばしさがたまならい「わた入りチャーハン」と、大葉と生姜の風味を効かせた「イカ刺ときゅうりのわた和え」を作ることにしました。

どちらもコリコリした口当たりと、ほのかな甘みが楽しめて、イカのおいさが堪能出来るメニューです。あっそうだ。作る前にすっきりタイプの吟醸酒とビールを冷やしておこう。うん、そうしよう!


「イカ刺ときゅうりのわた和え」の作り方
材料
・ スルメイカ一杯
・ きゅうり1本
・ 大葉10枚
・ 生姜ひとかけ
・ しょうゆ大匙1〜2
1. イカはわたを取り出し、ほぐして塩少々をまぶす。身は皮を取り、細切りする。
2. 大葉、生姜は刻む。
3. わた、「2」、しょうゆを混ぜ合わせ、イカと和える。