~地球の声に耳を傾ける~
エコピープル

2022年夏号 Ecopeople 92『新しいふつうをつくりたい
- BETTER RECYCLE 湘南 プロジェクト』
みなみなおこさんインタビュー

3 未来へ続く、KAMAKURA STORY

編集部
今回のプロジェクトをさらに進めるにあたり、一番大切にされていることとは?

みなみ
鎌倉が培ってきた文化に根ざした発展スタイルを大切にしたいと思っています。メーカー、メディア、地元の住民やビジネスされる方々、さらにこの地を訪れてくださる方々とのふれあいを通して生まれるストーリー、その一つひとつが鎌倉文化のDNAとしてより良い未来を引き寄せる力になっていることを日々、実感しています。
実際、湘南でカフェを営業されているオーナーの方が「ある日、コロナ禍でのテイクアウト需要に対応するべく提供した自身のお店のフード容器がビーチで捨てられているのを発見し、落ち込んだ」と話されました。「ビジネスを継続させるためにテイクアウト需要に対応することの大切さは分かっていても、結果として自分たちの湘南の海を汚している事実には目を背けるべきではない」とおっしゃったのです。
帰属するコミュニティー、鎌倉への愛情が環境意識の高さへと繋がり、循環社会への迅速な移行を望む地元の意思があってこそ、こうしたプロジェクトは広がって行くのだと思います。
未来への想いを馳せるプロダクトが語りかけるストーリーとは、関わった人々のものづくりへの願い、そして誰かへの思いやりがベースにあります。地球規模での解決が必要な環境保全、資源循環、廃棄物処理へとこのプロジェクトが発展するための起点として、鎌倉がモデル事例となるよう発展させたいと願っています。

編集部
最後に、スチールカップ浸透に向けてのビジョンをお聞かせください。

みなみ
スチールのリサイクル率は他の資源に比べて非常に高く、実に93.3%。人類の歴史、その文明の発展に寄与してきた鉄は社会を循環する重要な資源です。資源ごみとして回収されたスチールは何度も再生され、私たちの社会基盤を支えてきましたが、消費者の鉄への関心は高いとは言えません。今回の取り組みを通して、資源循環の重要性を世界中の人が認識し、その行動へと動き出すこと、それが鎌倉起点で各地に広がることを願っています。

取材日|2022年5月31日