関係者へのプレゼン、試作品検証、さらにヒアリング工程は円滑に進んだのですね。
みなみ|
業界が異なると判断や受容基準も違うので、その意識のギャップを埋めるために、通常はこの段階に入ると減速しがちなのですが、今回はそうした意味ではまさに異例のスピードで進みました。メンバー全員がこのプロジェクトの意義とゴールを理解し、努力し、柔軟に譲歩したことがスピード感を継続できたのだと思います。
一言で言うと?
みなみ|
「“ベスト”より“ベター”」、“今、できること” をまず実行する姿勢です。
より良い未来に向かって確かな行動を起こすことを最優先とし、こだわりや前例意識を捨て、“継続的な未来での発展” を信じ、決断と行動に徹したことです。
それが顕著に見られたのはどのようなシーンでしたか?
みなみ|
スチールカップの最終段階の試作品が届いた時のことです。私自身、デザインをもう一歩追求したスタイリッシュなカタチの改善をJFEスチールに提案したところ、「現段階ですぐには難しい」との返事が戻ってきました。そこで、自分の考えは一旦棚上げし、未来という時間軸で、実際に循環型社会を牽引してゆくことになるZ世代に意見を聞いたところ、「試作品カップを支持する」との返事が即座に届いたのです。
彼らは、スチールという資源をリサイクルする “新しいふつう” を創出してゆく “BETTER RECYCLE CUP” として、この試作品が十分であるとの判断をしたのです。
Z世代の率直な反応、驚きですね。
みなみ|
“ものづくり” の検証段階で、どこかで既存のカップの形状やデザインを意識し、私の中に良くも悪く “こだわり” が生まれていたのです。彼らの判断を聞いて、このプロジェクトの優先順位に改めて気づかされました。循環社会を本気で実現するには、“走りながら考え、議論し、行動する” ことだと。
より多くシーンでさまざまな方々に使っていただき、その過程でどんどん進化していく、“使い捨て” から “資源循環” への移行こそがこのプロジェクトの目的であることを!