本年度の年間フォトグラファーとしてお迎えしたのは中村征夫さん、日本を代表する水中写真家です。世界の海に潜水すると同時に、東京湾の海の生物を見守り続けている中村さん。毎回、書き下ろしのエッセイと共に、生物誕生の原点である“海の風景”に改めて向き合いたいと思います。
1945年秋田県潟上市出身。19歳のとき神奈川県真鶴岬で水中写真を独学で始める。撮影プロダクションを経て、31歳でフリーランスとなる。1977年東京湾にはじめて潜り、ヘドロの海で逞しく生きる生きものに感動。以来、東京湾定点観測をライフワークとして取り組む。数々の報道の現場の経験を生かし、新聞テレビ、ラジオ、講演会とさまざまなメディアを通して海の魅力や海をめぐる人々の営みを伝えている。
【主要著書・写真集】
『全・東京湾』『海中顔面博覧会』(情報センター出版局)
『海中2万7000時間の旅』(講談社)
『遙かなるグルクン』(日経ナショナルジオグラフィック社)
『海への旅』『永遠の海』(クレヴィス)など多数。
【主要受賞歴】
1988年 第13回木村伊兵衛写真賞
2007年 第26回土門拳賞、日本写真協会2007年年度賞
地球の地表の約7割を占める海、その面積は約3億6106万㎢、陸地(約1億4889万㎢)の2.42倍。ここには微生物から大型の魚類やクジラ、海洋哺乳類まで膨大な種類と数の生物が棲息する世界が広がっています。海は水の循環や太陽エネルギーを原動力とした海流の動きなど、地球の気候にも大きな影響を及ぼすのみならず、陸上の生物を支える重要な役割を果たしています。
『僕らの手で海は蘇る!』 2023.03.03 update