根を持ち、生息する場所が固定されている生き物を“植物”、移動し感覚がある生物は”動物”とアリストテレスは定義した。しかし、『惑星植物』と題された植物たちからは、彼らの生々しいまでの感覚が伝わってくる。
彼らは確かに“個”としての意志を持ち、自分が選んだ“地”に根を下ろし、どのような悪条件下にあったとしても、その“地”で生命を未来に繋いで行くことに全身全霊で踏みとどまり、堂々と生きている。
砂丘の只中で、強風が吹き荒れる岩場で、冷たい雪にも灼熱の熱波にも負けることなく、地球上のさまざまな環境の中で、健気に力強く生きている。植物は動けないのではなく、留まることを選び、そこで生きているのだ。
そのダイナミックにしてデリケートな造形力は、植物たちのレリジエンスのかたちに他ならない。
キュレーター 太田菜穂子