こんにゃく芋は、少しかじっただけでもロの中がビリビリするほどの強烈なエグ味があって、他の芋のようにそのままゆでたり、焼くだけでは食べられません。
こんにゃく芋を蒸してすり潰し、石灰水(アルカリ水)を混ぜて煮込むと固まり、こんにゃくになります。 現在は凝固剤に水酸化カルシウムなどを使用しますが、昔は藁を燃やした炭を水に溶かし、ろ過した灰汁(あく)を凝固剤として使用していました。 1000年以上前の人は、このような芋に灰汁を混ぜてエグ味を取り除き、食用にしていたのです。先人達の知恵と食文化の深さに本当に感銘を受けます。
こんにゃくを作る時に使われる「灰汁(あく)」という言葉には、二つの意味があります。一つは芋のエグ味そのもののことで、もう一つはエグ味を中和して取り除き、こんにゃくを固まらせる働きをもった灰汁のことです。つまり、灰汁を使って「アク」をぬく、ということになります。
*稲藁、胡麻がら、大豆がらなどを燃やして、灰に浸して上澄みをすくった液のこと。