～地球の声に耳を傾ける～エコピープル
©︎ Takehito MIYATAKE
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愛知県半田市。名古屋中心部からドライブで小一時間ほど、知多半島のほぼ中央に位置する地方都市です。日本を代表する童話作家、新美南吉の故郷としても知られ、2013年には新美南吉生誕100周年記念イベントも開催されました。
10年前、ここを子どもたちのためにも「ほたるのふるさと」にしようと一念発起した方がいます。当時、70歳だった土本修二さん。この町に暮らしながら南吉に親しみ、強く心に響いた『天国』という詩をきっかけに、ほたるの育つ環境を取り戻す地道な活動をはじめました。その熱意と真心は10年足らずで実を結び、多くの人々がほたるの飛び交う夏の夜の素晴らしさを体験できるようになったのです。
土本さんの活動に共感する支援の輪は「住民たちの静かな総意」として形成されるまでになりました。現在、地元である半田市では、JFEスチール知多製造所が、ほたる放流と生態系が保たれる水場の提供とほたる鑑賞会「ほたるの夕べ」の運営を支援。また、土本さんが一番ほたるを見せたいと願っていた保育園児たちとの出逢いとホタル育成の後継者のコーディネートを半田市役所が行っています。
そしていよいよ今年から、「ほたるおじさん」の後継役として、卵からのほたる育成を開始することになった半田農業高校。昨年来のコロナ禍の影響で、規模や運営スタイルは変更になったものの、「ほたるのふるさとづくり」を継承する取り組みは今日も粛々と続いています。
すべての取材をリモートで行うという異例な進行でしたが、ほたるによって結ばれた信頼と未来に寄せる想いが、離れた場所にあってもじわじわと伝わってくるインタビューとなりました。
取材：太田菜穂子・文：久保田梓美
土本修二さん
JFEスチール株式会社 知多製造所