〜命をいただく〜エコキッチン

 

2026年初夏号

ナビゲーター | 佐々木要太郎

料理人|醸造家

1981年遠野市生まれ。
江戸時代から続く武士の家系に生まれ、100年余り続いてきた民宿「とおの」を4代目として継ぐ。料理の基礎を父から学んだ後、独学で料理を極める。その傍らでどぶろく造りを始め、10年以上の試行錯誤を経て、一般的な「どぶろく」とは異なるエレガントな味わいを生み出すことに成功。
2017年には、スペインの世界的レストラン「ムガリッツ」にてどぶろくを使ったコースが新設されるなど、世界へ向けた道を歩み始めている。また、どぶろくを中心とした発酵食を深める過程で熟成の技術も身につけ、干肉やサラミ、チーズ、酢など、ありとあらゆる発酵食を自ら作り出せるようになった。2011年9月から民宿の隣に「とおの屋 要」をオープンし、ゆったりとした時が流れるレストラン、1日1組限定のオーベルジュを構えている。



写真|奥山 淳志 OKUYAMA Atsushi

第四回大根水炊き

冬を越した大根を炊く時は、大根選びから始まる。
ご存知の方も多いと思うが、大根は毛穴が真っ直ぐに並んでいる物の方が甘味が強い。不揃いな物は辛みが強い。煮炊き物には、甘味の強い大根が向いている。

さらには、寒暖差の大きな土地で育った大根ほど、美味しい物は無いと私は思う。大根に限らず、根菜類や葉物もそうだ。





















最後に皆さんにお届けする料理。
大根を水でひたすら炊き上げた一皿。味付けも何も一切せず、美味しい湧き水と大根のみで何時間もコトコトと炊き上げる。

透明な水、真っ白くみずみずしい大根が、鉄鍋も使っていないのに、お出汁で炊いたがごとく茶色くなってくる。スッと箸で割れる柔らかい大根は、繊細で品のある甘味があり、時間をかけて良かったと思わせる味わいだ。是非、お出汁も飲んでほしい。甘い。「大根のお出汁とはこういう味なのか」と驚くと思う。









なんでもかんでも、「効率良く、効率良く」と化学調味料に頼りがちな現代において、なかなかやる事のない時間の賭け方ではないだろうか。それでも、是非やってほしい。

本来、料理というのは時間がかかる物。いや、かける物なのではないだろうか、と私は思う。

何故なら命を頂いてるのだから。

本来、自然の恵みというのはそんなに簡単に私達のもとに届く物ではない。







水なんかは、果てしない時間をかけて土が濾過してくれ、土の中の栄養素をまといながら湧き出てくる。そして、山々の木々達も、雨水を蓄えて地下に浸透させ、自然の浄化作用で水を綺麗にする役割を持っている。この恵みや環境が、動植物達に命を与え、それを私達が食べて生きているのだから。

料理をしながら私は思う。どれだけの時間が運んでくれた物なのかと。













この1年間、4回にわたり、料理を通して皆さんにお伝えした事。皆さんは、どう捉えたのでしょうか。

食の根幹から見直さないとダメな現代。
私を含めた皆さん1人1人が考え方を変え、生き方を変え、行動していかないとダメな時代だと感じています。

目を通してくださった皆様。誠に有難う御座いました。





















大根水炊き

《作り方》
大根を2cm位の厚さに切り、
良質な湧き水と一緒に鍋に入れ、
大根が色づくまで弱火でひたすら炊いていく。

梅肉や塩漬けにした穂紫蘇、お味噌やバッケ味噌など、好みの物を脇に添えて食べるのもとても美味しい。