第一回
地球史Ⅰ 46億年の地球史の始まり


2025.05.26


我々人間がこの地球上であと何世代、何年生きられるのだろうか・・・

そんなことを真剣に考えざるを得ないほど、人は命の源泉である自然の循環を破壊してきた。今年の連載では、あらためて地球史、人間史、文明史を振り返りながら、我々の現在地を明らかにしたい。

約46億年前、地球の形成が始まった当初、太陽系では100億個を超える微惑星(平均的な大きさは10km)が、生まれたての太陽の周りを取り巻いていた。その中で比較的大きな微惑星がほかの微惑星を吸収し、月から火星程度の大きさの原始惑星をつくった。原始惑星が残存している微惑星を吸収しながら互いに衝突を繰り返し、1000万年ほどの時間をかけて原始地球が出来上がった。原始地球は自分と同じか、あるいは月サイズの天体との衝突を繰り返し(10-20回の巨大な衝突)、マグマオーシャン(岩石や金属からなる溶けた岩石の海)ができていた。そして最終段階で火星級の原始惑星が衝突し、月が生まれた。

地表がマグマオーシャンに覆われていた時代にも、原始大気の上層300㎞位のところでは水蒸気が凝結し、雲ができ、雨が降っていた。しかしその雨は、地表が高温のため地表まで届くことはなかった。地表に届く前に雨は蒸発し、再び水蒸気にもどることを繰り返すうちに、雨は地表の温度を冷ましはじめ、マグマを固めた。厚さ数百キロに及んだ原始大気は何年も雨を降らせ続け、最終的にそれが海になった。年間の雨量は10mを超え、この状態が1000年近くも続いたと考えられている。およそ41億年前のことである。(遅くとも38億年前に海は存在していた。)

38億年前、最初の生命は海で生まれた。海の中では、無機物(石や水、気体など)が太陽からの光や地球の熱などの影響で化学反応を起こして、生命の基本的な材料である炭素を主成分とする有機化合物が生成され、一つの細胞から成り立つ単細胞生物であるバクテリア(細菌)が生まれた。約20億年前、単細胞生物(原核生物)が進化して細胞膜を持つ真核生物が誕生。約12億年前には真核生物が進化して、多細胞生物(植物、動物、菌類などの祖先)が生まれることになる。

©︎ YAMADA Yuki



石田 秀輝
(合)地球村研究室代表 東北大学名誉教授

2004年㈱INAX(現LIXIL)取締役CTO(最高技術責任者)を経て東北大学教授、2014年より現職、ものつくりとライフスタイルのパラダイムシフトに向けて国内外で多くの発信を続けている。特に、2004年からは、自然のすごさを賢く活かすあたらしいものつくり『ネイチャー・テクノロジー』を提唱、2014年から『心豊かな暮らし方』の上位概念である『間抜けの研究』を奄美群島沖永良部島へ移住、開始した。また、環境戦略・政策を横断的に実践できる社会人の育成や、子供たちの環境教育にも積極的に取り組んでいる。
星槎大学沖永良部島サテライトカレッジ分校長、酔庵塾塾長、ネイチャー・テクノロジー研究会代表、ものつくり生命文明機構副理事長、アースウォッチ・ジャパン副理事長、アメリカセラミクス学会フェローほか