日本の失ってはならない文化要素は44個に集約できることはわかったが、さらに予兆の研究から、未来を創る要素はこの内の14個に濃集することもわかった。
それらは、4つのカテゴリーに分類できる。 1)自然との関わり 2)人との関わり 3)自足の暮らし 4)沢山ではなくほんの少し この4つのカテゴリーを見ただけでも、何だか懐かしく、現代に欠けているもののような、いや、今の時代だからこそ取り戻したい気になってくるのでは?
90歳ヒアリングの対象となった方々は、一つの地球で暮らすことが出来た人達だ(今の日本人の暮らしは地球2.8個が必要)。その特徴は、自然の循環の中に人の営みがあり、人は「意識(身体性+五感)」を研ぎ澄まし、刻々と変化する自然の中で生きたということであり、その繰り返しが知恵となり、自然の中で生きるための「知能」となった。だから、生の達人である老人は尊敬された。
現代はどうだろう、250年前から始まった工業化時代は、意識と知能の解離を生んだ。科学技術は知能を増大させたが、意識を育てることは無かった。意識の無い知能の増大は「個」の欲求を如何に最大にさせるかに向かう。それは「個」の孤独化ということでもある。孤独化を維持するためには生きるための糧が必要になり、それが働かねばならないという現在の社会基盤をつくった。本来働くということは、意識と知能の醸成のためであったはずなのだが、全く目的が逆行してしまった。それが現在、特に都会での生き辛さを生み出しているのだと思う。
2004年㈱INAX(現LIXIL)取締役CTO(最高技術責任者)を経て東北大学教授、2014年より現職、ものつくりとライフスタイルのパラダイムシフトに向けて国内外で多くの発信を続けている。特に、2004年からは、自然のすごさを賢く活かすあたらしいものつくり『ネイチャー・テクノロジー』を提唱、2014年から『心豊かな暮らし方』の上位概念である『間抜けの研究』を奄美群島沖永良部島へ移住、開始した。また、環境戦略・政策を横断的に実践できる社会人の育成や、子供たちの環境教育にも積極的に取り組んでいる。
星槎大学沖永良部島サテライトカレッジ分校長、酔庵塾塾長、ネイチャー・テクノロジー研究会代表、ものつくり生命文明機構副理事長、アースウォッチ・ジャパン副理事長、アメリカセラミクス学会フェローほか