~地球の声に耳を傾ける~
エコピープル

2025年晩秋号 Ecopeople 106
ビオトープ知多の挑戦

Part 2

編集部
こうしてスタートしたビオトープ知多の強力なパートナーとなったのが愛知県立半田農業高等学校や日本福祉大学教授の福田先生、研究者の富田先生との出会いへと繋がっていったのですね。

小原
半田農業高等学校とは「工場内にホタルを放つプロジェクト」でも連携してきた実績もあり、半田市もこうした私たちの活動に理解を示してくださっていたので、「水田づくり」については順調に進みました。

一方、ビオトープや里山・湿地の専門家である先生方に、我々からアポイントを取り、ビオトープ知多を確実に推進させるべく、ご指導を仰いでいます。
我々は今、造成時に植栽した樹木の生育上での注意事項などをご教示いただきながら、知多半島の生物多様性を保つべく、日々の維持管理を慎重に進めているところです。

この2年間、日々の作業やモニタリングを実施することを通して、ビオトープの維持管理を適切に行うためには、じっくり腰を据えて取り組む必要があるということを実感しています。

JFEスチールは現在「ねがう未来に、鉄で応える」というをパーパスに掲げています。
https://www.jfe-steel.co.jp/release/2024/10/241024-2.html

「ネイチャーポジティブ」を示す確かなアクションという意味でも、長期的ビジョンで環境保全活動に寄与して行きたいと考えています。



編集部
『ビオトープ知多』の全体図を拝見すると、アラカシ、モチノキ、ヤブニッケイ、クスノキなどの極相林、アベマキ、コナラ、ムクノキ、ヤマモモ、アオキなどの里山を構成する樹木、さらに、イヌツゲ、ノリウズキ、シテコブシなどの湿地性の比較的低い樹木、さらにクマノザクラにヤマモミジなど、普段都会で目にする単一な印象の植栽とは異なり、実に多様な種類の樹木が植えられていますが、これらは専門家からのアドバイスによるものなのですか?

小原
ビオトープはさまざまな生物が集まり、鳥や昆虫たちが生命の営みをする場所でなければなりません。彼らの食糧が確保され、生命が循環する設計が求められます。さらに知多半島の自然を保全するには、外来種の侵食から守ってやらなければなりません。植樹についても土壌の状況や天候を考慮し、徐々に進めています。

近年は、製造所を訪れるお客様をビオトープ内の竹林の小径や池エリアをご案内するだけでなく、植樹にもご参加いただいております。人生で植樹をするチャンスなど稀ですし、誰が植えてくださったかを示す名札を木の根元につけて、お客様にも樹木の成長を楽しみしていただければと思っています。