〜命をいただく〜エコキッチン

 

2024年春号あるものすべてに活かし、
使い切る。

ナビゲーター | 桑木野恵子

里山十帖シェフ | フードディレクター

1980年埼玉県生まれ。武蔵大学人文科学比較文学科卒業後、都内のエステサロン勤務。その後海外へ。オーストラリア、ドイツ、インド等を巡り、ヨガと各国のベジタリアン料理を学ぶ。帰国後、都内のヴィーガンレストラン勤務後、自遊人へ入社。温泉(共同浴場)と山歩きを日課に、地域のおじいちゃんおばあちゃんと交流し、地に根付く食文化・風土、雪国の暮らしを肌で感じながら、ローカルガストロノミーを料理で表現。2018年、「里山十帖」料理長に就任、2020年「ミシュランガイド新潟2020 特別版」で一ツ星を獲得。2022年には「ゴ・エ・ミヨ2022」で15.5点とテロワール賞を獲得。

「エコピープル」でのインタビュー記事 ≫

最終回森の恵「命の水」

雪国の人たちにとって、長く厳しい冬の季節がすぎ、眩い春の芽吹きと温かな光を体験できる春の訪れほど、待ちに待った季節はありません。私自身、今でも雪には慣れないままですが、雪国に暮らすということが、私の料理に大きく影響したことは間違いないでしょう。

2月の中旬頃から3月上旬の短い間、木々が冬の眠りから覚めて水分を吸い上げた、イタヤカエデの樹液の採取が始まります。大変貴重な森の恵みも、また私の料理には久かせない1つです。



















山はまだ真っ白、厳寒の冬に見えても、木々は芽吹きの準備を始めているのです。
私はこれを「命の水」と呼んでいます。採れたてのカエデの掛液は、ほんのりと甘く森の香りと大地の味がします。山の中でこの掛液をいただくたびに、私は自分が地球に生かされているのだと実感させられます。













今年は、新潟に移り住んだ中で一番雪の少ない冬でした。いつもは1月下旬の「大寒」に仕込む味噌、三五八や雪納豆といった「寒仕込み」も、気温が下がるのを待ち、2月中旬に行いました。

季節を楽しむことは、暮らしを豊かにしていくことなのだとこの10年で学んでいます。


























テキスト・写真|桑木野恵子